足立の花火(東京都)

染分満星(または染分牡丹)(そめわけまんぼし):「染分」になっている満星で、半球が「青満星(あおまんぼし)」、 もう半球が「黄満星(きまんぼし)」に「染分」されています。半球に色がわけられているので、この花火はみる角度によってみえ方が変わります。この角度でみられることは、ラッキーだといえます。「満星」の中に「芯」をいれると「牡丹」という玉名になります。しかし現在では、「満星」を「牡丹」というように なってきています。

 1924(大正13)年、千住新橋の開通を記念して行われたのが「千住の花火」で、戦争等により中止し、1979(昭和54)年から「足立の花火」として開催されています。

 この大会は、東京で夏に行われる花火大会で最も早く開催されます。一時間で約12000発を一気に打ち上げますから他の大会では味わえないような大迫力を堪能できます。

 花火はテーマを作り、全4幕構成で後半2幕は花火に音楽を付けて開催されます。また、河川敷が会場なので、土手の斜面等に座って観覧できます。特に西新井側の河川敷は広いので、千住側よりもゆったりと花火を観賞することができるので、おすすめです。

 実は、東京で「東京スカイツリー」と花火鑑賞ができるのは、ごく一部の花火大会のみです。早めに河川敷に陣取り、川風に吹かれながら待つのもいいものです。

 会場では花火とともに歓声が沸き、終わってからは「今年の花火も良かったね!」と語り合う人たちをよく見かけます。この花火大会は、地域の住民の方たちにとても愛されている花火だと思います。

 仕掛花火の「ナイアガラ」も毎年楽しませてくれる必見の花火です。

大会概要
【大会名称】 足立の花火
【開催場所】 荒川河川敷(東京メトロ千代田線鉄橋~西新井橋間)。打上場所は千住側(堤南)
【観覧席】 なし
【アクセス】 千住側:北千住駅(JR常磐線、東武スカイツリーライン、つくばエクスプレス、東京メトロ日比谷線・千代田線)
西新井側:小菅駅、五反野駅、梅島駅(東武スカイツリーライン)、足立小台駅(日暮里・舎人ライナー)
【URL】 http://adachikanko.net/
【問い合わせ】 足立区観光交流協会 TEL:03-3880-5853

泉谷玄作(いずみや げんさく)
写真家。1959年 秋田県に生まれる。花火の撮影をライフワークとする。現代美術作家、蔡國強(Cai Guo-Qiang)氏の依頼で、2002年MoMA(ニューヨーク近代美術館)主催の「動く虹」の花火や、2003年ニューヨークセントラルパーク150周年記念の「空の光輪」の花火などを撮影。著書に、『心の惑星-光の国の物語』(クレオ)、『日本列島 四季の花火百華』(日本カメラ社)、『静岡県ふくろい遠州の花火』(日本カメラ社)、『花火の図鑑』(ポプラ社)、『花火の大図鑑』日本煙火協会/監修 (PHP研究所)、『日本の花火はなぜ世界一なのか?』(講談社+α新書)など、花火に関するもの多数。日本写真家協会会員。

2014.07.03(木)
文・撮影=泉谷玄作