――本書では「重要事項説明書」を確認する重要性にも言及されていました。
上大岡 姉が「パンフレットにはいいことしか書かれていないから」と調べてくれたのです。いくつか候補があるなかで、「ここは介護士の離職が多いから、何か現場に問題があるんじゃないか」とか。分析力があり、数字に強い彼女が姉で本当によかったと思いました。これから施設見学をされる方は、必ず重要事項説明書を確認することをおすすめします。
「入居したらそれでおしまい」ではない
――そのほかに新たな気づきや発見などはありましたか。
上大岡 新しい発見だったのは、施設に入居したらそれでおしまい、とはならないことです。ファイナンシャルプランナーの畠中先生も「“シニアの住み替えは2回”と考えてみて」とおっしゃっていました。たとえば、元気なうちに自宅から移り住む先としては「サ高住」ことサービス付き高齢者向け住宅などがありますよね。その後は要介護度に応じて、入居先の施設は変わっていきます。私自身も認知機能がしっかりしているうちに、自分の行き先を筋道立てて考えておかないと、と思いましたね。
――本書には上大岡さん以外の方の体験談もたくさん載っています。ほかの方のご経験も読まれて、どのように思われましたか。
上大岡 本書では、最後まで自宅介護された方など、数多くの事例が紹介されています。介護には正解がありません。いろいろな体験談を参考にしながら、自分なりの正解を見つけていくしかありません。けれど、何をどう選んだとしても、それは間違いではないんです。本書を読んで、「これがうちの介護なんだ」と自信をもって言えるようになる、そんな後押しができたらうれしいです。
【最初から読む】山口~横浜の在宅介護はもう限界、それでも父(89)は老人ホームを断固拒否…上大岡トメさんが振り返る“親を説得するまで”「最もストレスがかかった2か月でした」

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