「住み慣れた我が家」が最良とは限らない
――「住み慣れた我が家」が必ずしもいいとは限りませんよね。階段の上り下りがつらくて、1階でしか暮らしていないという話もよく聞きます。
上大岡 実際、父は4回ほど浴室で滑って転んで、怪我したんですよ。
――なるほど。それは危ないですね。
上大岡 ただ、老人ホームに入ることがゴールではないんです。我が家の場合も、両親からの入居後のクレームがすごくて。施設側としては、入居者には転んで怪我をしてほしくないから、「必ずスタッフを呼んでくださいね」と言うんです。父はなんでも自分でやりたがる性格なので、それが気に入らなかったみたいです。
私も覚悟を決めていたので、施設のスタッフさんとは頻繁に連絡をとりつつ、最初の1か月はこちらからは両親に連絡しませんでした。1か月を過ぎた頃に会いに行って、まずはすべてのクレームを聞きました。これも修行だと思って(笑)。
「本当の親孝行」とは…?
――その甲斐あって、お父さまは老人ホームでカラオケを楽しむまでになったとか。
上大岡 そうなんです。文句を言いたいだけ言うと父も母も冷静になってきて、「ご飯が3食出るなんてありがたいよね」「お風呂が気持ちいいんだよ」とポジティブな発言が出てきました。
――あらためて、ご両親の老人ホーム入居体験を通して、どんなことが「親不孝」だと思われましたか。
上大岡 一番親不孝なのは、何の情報も集めず、行き当たりばったりで不本意な施設に親を入居させることではないでしょうか。あくまでも私たちの体験を通してですが、人生の最後を快適に過ごせる場所をどうやって見つけてあげるかを考えることが、本当の親孝行だと思います。
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