今回、ご紹介するのは、京都の老舗「末富」の「京ふうせん」(1,000円)です。とっても京都らしい、繊細で優雅なお菓子なのです。
まず、「末富ブルー」と呼ばれている、きれいなブルーの包装紙を見たとたん、誰もが「わぁ、きれい!」と言わずにいられません。
包装を解いて、箱のふたをそっとあけると、ピンク、白、水色、緑、黄色の砂糖がけの薄い「ふやき」が。その色あいの美しいこと! 京都では、平安時代から女官の装束の衣の表裏のきれを「かさねの色目」と言い、色目で季節の移ろいを楽しんでいたのだそう。このお菓子の5色は、かさねの色目の基本の5色なのだそうです。
5色のうち、どの2色の組み合わせも、雅な姫の気分になれる美しい色合いです。そして、薄くて小さなふやきを1枚口に入れると、つかの間、舌の上で形をとどめ、すぐにとけてしまう。残るのは、ほんのりとした甘み。
こんなにも美しくてはかない食感のお菓子は、世界中探してもほかにはないと思います。
上等なお茶にももちろん合いますけど、実はシャンパンや、よく冷えた辛口の白ワインにも合います。
2014.07.06(日)
文=肱岡香子