あゆが歌う主題歌にあふれる、“圧倒的肯定感”

 3シーズンすべての主題歌を務める浜崎あゆみが今回の曲につけたタイトルは「mimosa」でした。ミモザは、感謝や友情の花言葉を持つ花であると同時に、3月8日の「国際女性デー」(女性の社会参加と地位向上を訴える日)の象徴でもある花。自身の人生と重ねつつも、現代社会を生きるすべての女性たちへのエールとしてもこの曲は響いてきます。

 感情の記憶装置といえるヒットソングをたくさん発表してきたあゆが、聴く人の人生とともに歳を重ねてきた今「ひとつだけ昔の自分にかけてあげられるとしたら、どんな言葉にしますか?」という粋な問いを歌詞として投げかける。 

 これはもう、大人たちの人生と感情が織りなすドラマに捧げられた思いであるだけでなく、視聴者への「ねぇ、あなたはどう?」という問いかけでもあるのです。そして2番にはこんな歌詞が。

「人を心の底から信じるだなんて/何かに本気で人生賭けるだなんて/今の時代にまるで合ってないことはさぁ/わかっているんだけどそれでもねぇ/やっていくんだよ/だって此処が君の居る世界なんだから」

 変化の激しい世の中だけど、自分のいる世界で諦めずに生きていくという強い決意が伝わってきます。あゆ自身の答えでもあるかもしれないし、ドラマの登場人物の答えであるかもしれない。そして、日々の選択を積み重ねながら生きている私たちの答えになるかもしれない。人生の答え合わせなんてまだする必要はないけれど、ドラマや主題歌を通して、「うん、私の人生、これでよかったんだ!」と、そう思いたくなります。

 ドラマを観終わった後、私たちはきっと、自分の日常や、周りにいる人々、そして自分自身の人生が、ほんの少しだけ愛おしく思えるような、温かな肯定感に包まれるのではないでしょうか。この作品は、まさに人生のベテラン勢たちによって、「恋」という言葉を借りて綴られた、私たちの不器用で愛おしい人生への、優しくも力強い、とびきりの賛歌なのです!

 最終回を迎えても、今後も『続・続・続・』と、終わらない物語をどうか続けてください! 

『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ)

2025年6月23日(月)夜9時より最終回放送

2025.06.23(月)
文=綿貫大介