この記事の連載

 古の知恵と現代の感性が出会い、東西の文化が交差するイスタンブール。アナトリアの豊かな恵みを生かした創造性豊かな一皿、優雅な宮廷料理の世界……、この街で今輝く名店の魅力に迫る。


ビザンツの記憶が息づく、石造りの美食空間

◆The Sarnıç Restaurant(ザ・サルヌチ・レストラン)

 歴史的建造物がひしめくスルタンアフメト地区の一角に、まるで地下宮殿のような幻想的な空間が広がっている。それは1500年以上も前のビザンティン時代に造られた、地下貯水槽の遺構。

 大きな川のないイスタンブールでは古代から水の確保が課題とされ、このような貯水施設=サルヌチが各地に築かれたという。それが後にレストランとして生まれ変わるとは、さすがの皇帝も想像できなかったに違いない。

 そんな歴史的空間で味わう料理は、今年に入りグッとモダンになったと評判だ。カプレーゼのようなトマトのサラダには、モッツァレラではなくトルコで人気の水牛ヨーグルトを用い、トルコ南部・ハタイ特産のサマンダー唐辛子をアクセントに。

 低温調理の牛スペアリブに甘み・香ばしさ・コクを重ねた一皿は、宮廷料理の再構築といった装いで、トルコ料理の深遠を教えてくれる。

The Sarnıç Restaurant(ザ・サルヌチ・レストラン)

所在地 Soğukçeşme Sk. No:26, Sultanahmet, Fatih, İstanbul
電話番号 0212 912 4114
営業時間 10:00~24:00
定休日 無休
https://sarnicrestaurant.com/tr/

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Column

CREA Traveller

文藝春秋が発行するラグジュアリートラベルマガジン「CREA Traveller」の公式サイト。国内外の憧れのデスティネーションの魅力と、ハイクオリティな旅の情報をお届けします。

2025.06.30(月)
文=伊藤由起
写真=志水 隆
コーディネイト=松井和花
協力=トルコ共和国大使館文化観光局 Go Türkiye(goturkiye.jp)

CREA Traveller 2025年夏号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

麗しのトルコ イスタンブール

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特別定価1,700円(税込)