2024年の大阪アジアン映画祭で笑いと感動の渦を巻き起こした、タイ発の傑作青春映画『親友かよ』がついに日本公開される。主演の「トニー」ことアンソニー・ブイサレートと、「ジャンプ」ことピシットポン・エークポンピシットが作品の魅力を語り合った。

 本作は「アジアのA24」と称される映画スタジオ・GDH559(以下GDH)が製作を手がけ、『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』のバズ・プーンピリヤ監督がプロデュースした話題作。

 高校3年生の少年ジョーが、交通事故で突然この世を去った。クラスの席が隣同士だったペーは、短編映画コンテストに入賞すると試験ナシで進学できると知り、転校して間もないにもかかわらず、自分はジョーの親友だとウソをつき、ジョーのために映画を作ると宣言。仲間たちを巻き込んでの映画づくりが始まるが――。

 ペー役のアンソニーは、「タイのティモシー・シャラメ」とも言うべき端正なルックスとみずみずしい演技で観客を魅了。ジョー役のピシットポンはBLドラマ「ラブ・バイ・チャンス2/A Chance To Love」で注目され、本作でタイ国立映画協会賞の助演男優賞に輝いた。

 タイでの劇場公開から2年、若き才能ふたりにとって『親友かよ』はどんな経験だったのか。それぞれの役づくりや撮影秘話、当時から現在までの変化も含めて、貴重な“同窓会トーク”をお届けする。

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『親友かよ』を観るたび、うれしい気持ちになる

――『親友かよ』が日本公開を迎えますが、おふたりは最近この映画を見直しましたか?

アンソニー・ブイサレート(以下、アンソニー) 撮影は2022年だったので、ずいぶん前に撮ったように感じますね。僕は去年(2024年)の12月に、父の故郷のベルギーに帰ったとき、母と一緒に見返しました。撮影からいろんなことが変わったけれど、いい時間だったなと思います。

ピシットポン・エークポンピシット(以下、ピシットポン) 『親友かよ』を観るたび、僕はすごくうれしい気持ちになるんです。出演できて本当に良かったし、自分たちの演技もすごくいいなって(笑)。素晴らしいチャンスをもらえたこと、ジョーを演じるなかでさまざまなことを学べたことに感謝しています。

会う機会はあったが…

――映画の公開後、おふたりが顔を合わせる機会はありましたか?

アンソニー まだ共演のお仕事はないんですけど、会う機会はいろいろとあったので、久しぶりという感じはしないですね。

ピシットポン うん。監督の誕生日パーティーや新年会などで顔を合わせていたんです。ただ、ゆっくり話をする機会はほとんどなかったんですよ。

2025.06.22(日)
文=稲垣貴俊
通訳=高杉美和