新教皇レオ14世を選出した「コンクラーヴェ(教皇選挙)」に参加した日本人枢機卿・菊地功氏が、「文藝春秋」7月号でその舞台裏を語った。

コンクラーヴェ初参加・菊地氏の“事前学習”
昨年12月に枢機卿に就任したばかりの菊地氏にとって、今回が初めてのコンクラーヴェ参加となった。バチカンに向かう飛行機の中でも、不安は拭いきれなかったという。
「ほかの枢機卿のこともよく知りません。機内では、『次期教皇有力候補』としてメディアなどに取り上げられている方のお名前をネットで検索し、経歴や人物像を調べる“事前学習”に励んでいました」

だが、その時点では、後に教皇レオ14世となるプレボスト枢機卿の名は記憶に残っていなかった。
プレボスト枢機は、特別目立ってはいなかった
「以前、バチカンで開かれた会議で顔を合わせたことがあり、物静かで優しい方という印象はありましたが、この時は有力候補として名前が挙がっていたわけでもなく、ニュース記事の中でも、端の方で触れられている程度だったのです」

コンクラーヴェに先立って行われる枢機卿総会では、すべての枢機卿に発言の機会が与えられた。しかし、そこでもプレボスト枢機が特別目立っていたわけではなかったという。
映画『教皇選挙』が助けに
そんな未知の空気の中で、意外なかたちで菊地枢機卿の助けになった“予習”があった。
「実は、初めてコンクラーヴェに参加するにあたり、多少の不安を解消してくれたのが、今年のアカデミー賞でも注目を集めた映画『教皇選挙』でした。3月、会議のためにローマに向かう飛行機で観たのですが、これがなかなかよくできていた」
枢機卿による殺伐とした権力闘争を描いた『教皇選挙』だが、なぜこの作品が不安を抱えた菊地枢機卿の支えになったのか。映画との意外な共通点、そして現実とのギャップとは――。
コンクラーヴェの全容を語った「コンクラーヴェ体験記」は、6月10日発売の「文藝春秋」7月号で8ページにわたり掲載される(月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」では、6月9日に公開)。


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2025.06.15(日)
文=「文藝春秋」編集部