この記事の連載

 同じ料理でも、盛りつけるうつわによって見え方はガラリと変わります。うつわを選ぶとき、「○○を盛ったらどんな感じになるだろう」と想像できれば、うつわ選びはグンと楽になりますよ。フードスタイリストの久保百合子さんに「うつわによって変わる料理の見え方」を教わる企画、第2弾です。

「うつわひとつで食卓が変わる【ラーメン篇】」
「うつわひとつで食卓が変わる【チャーハン篇】」


◆Vol.16 お話を聞いた人 フードスタイリスト・久保百合子さん

 フードスタイリスト。『オレンジページ』や『きょうの料理』など、料理雑誌やレシピ本のスタイリングを手掛けて約30年のキャリアがある。シンプルかつ温かみのあるスタイリングにファンが多い。国内作家のものから外国のものまで、幅広くうつわを収集している。


うつわひとつで料理の見え方は変わる! お刺身篇

◆なます皿

 今回はお刺身を盛ってみましょう。

 忙しくて夕飯のおかずを作れない時、私はお刺身のパックによく頼っています。お刺身を引き立ててくれるうつわに移せば、おいしさも倍増ですよ。

 まずは「なます皿」と呼ばれる、日本の古典的なうつわから。お刺身をはじめ、和のおかずを盛りつけるのにぴったり。濃い青色がまぐろの赤、白身によく映えて、日本のクラシックな美しさが引き立ちます。

 各地のうつわ屋さんや古道具屋さんで気に入ったなます皿を集めるのもおすすめ。大体が15センチぐらいの内径で深さも同じぐらい、取り鉢として使うのにも便利です。

◆底が平らな15センチなます皿

 こちらもなます皿のひとつ。内径が15センチで底が平らななます皿は、本当に一人前の和のおかずが盛りやすい。ふちに「輪花」とよばれる花びらのシルエットがつけられた白磁のうつわで、食卓もはなやぐデザイン。ふちの厚みも見てください。ぽってりとして、温かみのある印象を与えてくれます。それでいて上品な感じに仕上がるうつわですね。おでんや煮つけなど、茶色いおかずもよく映えるんですよ。

2025.06.12(木)
文=白央篤司
撮影=平松市聖