作詞・作曲はクレイジーケンバンドの横山剣
伊藤 さて、今回は小泉今日子(48)と中井貴一(52)という勢いのある組み合わせのデュエット曲。平均年齢50歳というアラフィフど真ん中の2人が歌うこの曲は、作詞作曲がやはりアラフィフの横山剣(53)に、わたせせいぞうのジャケときた。そして、詞の内容もかなりアラフィフのツボをついています。
山口 僕はキョンキョン世代です。高校時代にバイトしていた吉祥寺のジャズ喫茶の常連客が、中井貴一の成蹊高校時代のテニス部の後輩だったという記憶もあり、このデュエットには、同世代感満載ですよ。わたせせいぞうとカフェバーとAORが流行りな高校時代でした。
伊藤 ですよね。山口さんは見た目が若いから忘れてしまいますけど、まさにこの世代ですもんね。
山口 先月、ジャスト50歳になりました。いまだにちゃんとした大人の自覚が無い自分に驚きます(笑)。20代から気分は変わりないですし、体力的にも加齢の自覚が無いんですよ。
伊藤 “ちゃんとした大人”なんてあるようで無いんじゃないですか? でも体力的にビンビンなのは素晴らしい! 見習いたいです。
山口 アホなだけかもしれませんけれど(笑)。さて、この曲は、フジテレビのドラマ「続・最後から二番目の恋」の劇中歌なんですよね? 僕は観てないんです。すいません。業界人としては失格なのですが、連ドラはほとんど観ないもので。
伊藤 音楽業界にいたら連ドラは観れませんよ。番宣とかで興味をもって録画してもハードディスクの肥やしになるだけだったりして。僕も今回のドラマも録画だけして、まだ観てないんですが。でも前作の「最後から二番目の恋」は観ましたよ。やっぱり、その劇中歌だったヤエル・ナイムの「Go To The River」が印象的でした。
山口 あの曲は僕も好きでしたよ。そのドラマの続編なんですね。小泉今日子は、NHK朝ドラ「あまちゃん」でも大活躍でしたね。僕は5年位前に、ロックフェスティバルでステージを観て、「なんてったってアイドル」を歌っている姿が格好良過ぎて痺れました。特別にファンだった訳では無いのですが、ミニスカートで「43チャイでーす」って言って、客席を盛り上げる女性アーティストが日本でも出てきたんだと感動的ですらありました。
伊藤 いいですね。
“ヤングでナウ”なラブソングとの違いは?
山口 最近、雑誌「AERA」のインタビューで芸能界批判をしたと話題になっていましたが、発言内容はいたって真っ当でした。堂々とこういうこと言えるのは、事務所との関係も良好なんだろうなって、勝手に推測しました。
伊藤 なるほど。山口さんらしいマネージメント目線ですね。
山口 ユーザーからもカッコイイ存在として見えているし、フィクションと実生活反映の世界感とを自由に行き来する表現ができると思うので、今、時代感のあるソングライター、プロデューサーたちと組んで、新しいアルバムをつくったら、幅広い世代に支持される作品が作れるだろうなって思います。僕がプロデュースに関わらせてもらうのは難しそうですけれど、もっと音楽をやって欲しいです。
伊藤 ぜひ関わってください。そのときは僕も参加したいです(笑)。
山口 営業に行かないと(笑)。さて、この曲はどうですか?
伊藤 ドラマ「続・最後から二番目の恋」の内容そのままなんですが、鎌倉を歩くアラフィフの男女、経験を重ねたからこその砕けた会話と、歳を重ねたからこそ不器用になった恋の駆け引き。曲の最後に出てくる「(女&男)そんな甘い事件 この先 ないのかな? (女)あるのかな? (男)ないのかな? (女&男)どっちかな?」いうところ。相手に何かを求めたり、期待したりするんでなく、また自分を奮い立たせるわけでもなく。これから先、自分の人生に“恋”なんてすることあるのかな? という自問をしているところが“ヤングでナウ”なラブソングとは違うところ。
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2014.05.30(金)
文=山口哲一、伊藤涼