この記事の連載

 モデル・俳優をしながら、社会問題や政治、フェミニズムへの関心を持って自らの思いをさまざまなかたちで発信している山本奈衣瑠。インタビューの前編では、これまでを振り返りつつ、俳優を始めて5年目となる現在、どんなことを感じているかを伺った。

 山本さんはこの4月から日本を離れ、慣れない環境に身を置いている。俳優として多くの作品に出演し、活躍の場をまさに広げているいま、日本を離れて留学する道を選んだことに驚く人もいるかもしれないが、自分自身を豊かに耕すことが俳優業にもきっと還元されるから自然なことだと話す。

》【前篇】「私は私でいいんだ」俳優になって5年。自分を肯定することから始まる山本奈衣瑠の前向きバイブスを読む


自分のために生きる、そのスタイルはこの先も変わらない

――映画の仕事はチームプレーでありながらも、各々がそれぞれの場所でかまし合う個人プレーの部分があるというお話が印象的でした。そうした仕事をする中で、自分との向き合い方が変わった部分はありましたか?

 あんまりなくて。モデルは気づいたら仕事になっていたという始まり方だったんですけど、俳優に関してはいつから始めたという節目の実感はあるし、仕事としての変化も体感しています。でも、自分自身という意味ではあまり変わっていないですね。

 今泉力哉監督の作品も、そのあと出演した作品でも、過去の作品ではなく私自身のことをおもしろがってくれて、それはいままで生きてきた時間全体を肯定されているってことだから、この感じで生きていて間違ってないんだと思えたんです。

 私は仕事のために生きていないし、自分のために生きていて、その中にありがたいことに楽しい仕事があって。生きている中で培ったものを表現として出して、うまくいったりいかなかったりしながら楽しんでいるこのスタイルはきっとこの先も変わらないですね。

2025.05.19(月)
文=竹中万季
写真=佐藤 亘