近ごろ調理器具で話題の蒸篭。ヒノキやスギ、竹など天然樹木製ならではの素朴でシンプルなデザインは、そのまま食卓に並べて見栄えがするのも魅力です。また、重くてサビるとやっかいなのに、なぜか惹かれる鉄の道具、鉄瓶。上手に長持ちさせる秘訣はあるのでしょうか? 長年にわたり暮らしの道具選びに関わってきた、ひとり問屋の日野明子さんに新刊『台所道具の選び方、使い方、繕い方 使い込み、育て、変化を楽しむ。』を元に、調理道具のメンテナンス術を伺いました。


蒸籠は洗剤を使わず、シュロタワシでゴシゴシ洗う

 油を使わずヘルシーな料理が作れる、野菜などが水っぽくならず栄養を逃がさないなど、蒸籠が人気の理由はさまざまですが、使い慣れているフッ素樹脂加工のフライパンや金属製の鍋と異なり、塗装されていない白木の調理道具は使ったあとのお手入れが気になるところ。

 「『水分を呼吸する』という木の性質を活かした道具は日本にたくさんありますが、その代用格が蒸籠やおひつ。木は加熱調理した素材の水分を程よく調湿してくれる優れものですが、使っていくうちに、いずれも買ったときの木の白さは保てません。『白木のものは使い込んでこそ』と頭に入れて、食器洗い用洗剤は使わずに、しっかりタワシでこすって洗ってください」と日野さん。

洗い方のおおまかな手順はこちら

中華蒸籠は使用後にまずサッと水を流し、洗剤は使わずにシュロタワシで洗います。油がついている場合はクレンザー(粉)を使ってこすり洗いして水を切り、枠の内側に入り込んだ水もよく振って外に出すようにします。あとはしっかり乾燥させます。

2025.04.25(金)
文=CREA編集部
写真=吉崎貴幸