この記事の連載

うちの子ベストショット④「ずっと見ていられる構図」

――ずっと猫と一緒に暮らしていたのなら、一人暮らししても飼いたくなるのではないですか。

 飼いたい気持ちはもちろんあるんですけど、今住んでいる家はペット不可なので飼えないんですよね。あと、飼ってしまったら1人暮らしがより居心地よくなって、パートナーが欲しいという気持ちがなくなってしまうんじゃないかなと思ったりして。実家にはこの子たちがいますし、今は縁があれば飼いたいなと思っているくらいです。

――なかのさんの思う猫のいいところは?

 猫って一定の距離があるじゃないですか。で、気が向いた時だけ近づいてくる。そういう適度な距離間が僕は好きですね。家に帰っても迎えに来てくれるわけではないですけど、寒いと布団の中に入ってくる。そういう自由さも猫らしいですよね。あと、何かを捕まえに行く時の姿勢とか所作が美しい。

 今は飼えないですけど、猫のことは見ていたいし、触っていたいという気持ちはやっぱりあるんです。住んでいるエリアは地域猫が多いので、家のベランダから見える物置の上に、朝、日向ぼっこにやってくる猫を眺めたりできるのは嬉しいですし、SNSでも猫の動画をいろいろと見てしまいます。空間のどこかにいてくれたらホッとするし、僕の中で猫が占めている割合は多いんですよね。

――ただ、多くの猫を飼ってきたということは、その分、別れも経験してきたということですよね。

 そうですね。たまちゃんは25年と、表彰状もいただいたくらいの長生きでした。最近だと、この子の母親のナナが亡くなってしまって……。ちょっと危ないかもなぁみたいな時は、僕も弟たちも実家に集まりました。その前に黒猫が亡くなってしまったんですけど、そろそろヤバいかもという時に家族全員が集まったら、みんなの顔を見て元気が出たのか、そのあとちょっとだけ寿命が伸びたことがありましたね。

 祖母が危なかった時には、レミという猫が亡くなって、身代わりになってくれたのかなということもありました。(母「レミが身代わりになってくれたのかなと思うんです」って獣医の先生に言ったら、「そうですよ」って。「そういうことあるんですか?」と聞いたら、「猫は飼い主の身代わりになるんですよ」って言ってました)……まぁ、本当かどうかは別として、そういうことを聞くと動物ってすごいなと思いますよね。祖母は家で看取ったんですけど、祖母の布団の上にロロたちが座っていて。寒いからいただけかもしれないけど、見守ってくれたのかなと思いましたね。

うちの子ベストショット⑤「特等席は譲らない」

――ロロちゃんも長生きしてほしいですね。

 できれば長く一緒にいてほしいですね。死というのは、いつかは来るものですけど、辛いものは辛いですからね。もう1匹の猫は腎臓が悪いので、腎臓がよくなる薬も早く開発されてほしいです。これは猫を飼っている人たちみんなの願いですよね。

 これは誰かが言ってたことなんですけれど。当たり前のようにヒトはペットを飼っているけれど本能としては必要のない行為だと聞いて、たしかにそうだなと。となると、ペットを飼うってどういうことなんだろうと考えるんですけど…やっぱり支えになってくれる部分が大きいなと思います。

2025.01.03(金)
文=高本亜紀
写真=スイーツなかの
撮影=鈴木七絵