この記事の連載
プロデューサーとして分析する、『THE W』の特徴
――プロデューサーとして「『THE W』はここに期待してほしい」と思うポイントはどこですか?
マジで何が起こるかわからないところですね。例年そうですけど、今年は本当にわからない。『M‐1』は波があるじゃないですか。前の組が爆発したら、そのあとは荒れ地になってしまう……とか、そういう波というか流れがある。『KOC』もそうです。
でも『THE W』は漫才やコント、ピンと、なんでもありなので、どの出順でも起爆剤になれる。一点突破の爆発力で裏返せる大会なんですよ。
――それは勝ち残りノックアウト方式だからでしょうか。
それもあります。Aブロックの1組目はどうしても不利に見られがちだけど、それでもとにかく強くて爆発力があれば、続く2〜4組目とどちらに入れるか迷ったときにその爆発力が忘れられない審査員は1組目に投票するんですよ。
それに、女性芸人って流れに釣られないんですよね。自分たちでそれぞれに独立していて、前の組が作った波に飲み込まれてしまわない。だからAブロックの1組目でも勝ち抜ける。流れと関係なく、とにかく純粋にネタが面白かった組が勝つ。それってめちゃくちゃかっこいいですよね。
――大会の裏側は朗らかで穏やかでありながら、勝負の場面ではそれぞれが流れに飲まれないというのも複雑で面白いですね。
今年は特に、誰が大爆発するのか、本当に全然わかりません。でも全員大爆発してほしいし、この大会をきっかけにほかのところでも見つかってほしい。スタッフはみんな、そう願ってます。
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片岡明日香
日本テレビ番組プロデューサー・ディレクター。2019年日本テレビ入社。担当番組は『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』『with MUSIC』『おしゃれクリップ』『女芸人No.1決定戦 THE W』『THE DANCE DAY』『THE MUSIC DAY』『欽ちゃん&香取慎吾の全日本仮装大賞』など。
Column
テレビマンって呼ばないで
配信プラットフォームが活況を呈し、テレビの観られ方が大幅に変わりつつある今、番組のつくり方にもこれまでとは違う潮流が勃興しています。その変化の中で女性ディレクター/プロデューサーは、どのような矜持を持って自分が面白いと思うものを生み出しているのか。その仕事論やテレビ愛を聞く連載です。
2024.12.10(火)
文=斎藤 岬
写真=平松市聖