中島 きっかけは、どこかで読んだものかもしれないですし。
朝倉 本当にそう。われわれは、換骨奪胎派ですから(笑)。
おばあさんになる時何が起こるのか
中島 『よむよむかたる』の中で、お年寄りたちのセルフイメージは「ちょっとばかり歳を取った自分」という話が出てきますよね。ただ、「ちょっと」は人によって大きく違うという指摘、笑っちゃいました。
朝倉 うちのお母さんも鏡を見て、「わぁ、しわくちゃ」とびっくりしています。「これじゃあ、おばあさんでしょ」とか言う(笑)。
中島 最近、小さな壁にぶつかっているんです。私はおじいさんおばあさんが好きでよく書いていたんですけれど、みんな死んでしまったんですよね。今のおじいさんおばあさんって、団塊の世代くらいじゃないですか。私のイメージの中のおじいさんおばあさんではないんです。新しい世代のおじいさんおばあさんの「らしさ」を表現するのが、すごく難しい。
朝倉 確かに。
中島 団塊よりもずっと上の世代ですが、うちの母なんて普通にパソコンを使いこなしますし。
朝倉 90代でパソコン?
中島 この間「ちょっと、京子さん」とか言って私のところに来て、「またウイルスが入ったの」と。ウイルスが入って危険ですみたいな表示が画面にブワーッと出ていたらしくて、「だから私は消したの。一晩待ってみる。そうしたらなくなると思う」。いや、そんなことはないと思いますよ、と(笑)。
朝倉 ウイルス対策は苦手だった(笑)。では、そろそろYouTuberになるんじゃないですか?
中島 母はカルチャーセンターの講師もしているんですが、コロナ禍の時に、教室に行けない人のためにオンライン配信も始めたんですね。ある時、部屋でガサゴソ音がして、友だちと長電話しているのかなと思って覗いてみたら、自分の動画をチェックしていました。
朝倉 そんな人、小樽にはいないかも!(笑) 東京のおばあちゃんって感じがして、面白いです。
2024.11.13(水)
司会・構成=吉田大助
撮影=佐藤 亘