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弘前の歴史や伝統文化に新たな息吹を吹き込む「弘前エクスチェンジ」

 また、「弘前エクスチェンジ#06 『白神覗見考』」も同時開催。2020年にスタートした「弘前エクスチェンジ」は、弘前にゆかりのあるアーティストや国内外で活躍するアーティストなどを招聘し、地域の歴史や伝統文化に新たな息吹を吹き込んでもらうことを目指して、作品制作や調査研究、地域コミュニティとの関わるワークショップなどを行うプロジェクトです。

 6回目となる今回は、青森県南西部から隣県・秋田県西北部にまたがる白神山地をテーマにリサーチ・プロジェクトを実施しました。狩野哲郎、佐藤朋子、永沢碧衣、 L PACK.の4組が、各自の視点で、作品展示やワークショップなどを行います。

 狩野哲郎は、白神山地が1993年に世界自然遺産に登録されたことで、それまで暮らしていた人や動物に生まれた変化を探り、立体作品を中心に美術館内外で展開。

 永沢碧衣は、自身の狩猟経験をもとに制作した絵画作品を展示します。

 佐藤朋子は長期的なリサーチの過程を、会期を通じてアップデートし続けます。L PACK.は、弘前市では馴染み深い夏祭り「宵宮」に触発され、展覧会期末の3日限定のイベントとして体験型作品を公開します。

 「蜷川実花展 with EiM: 儚くも煌めく境界」も、「白神覗見考」も、人間と自然という二項対立的な見方ではなく、人間と自然がゆるやかにつながっていることが表現されています。それこそが「弘前れんが倉庫美術館」の解釈した「つらなりのはらっぱ」です。

弘前れんが倉庫美術館

所在地 青森県弘前市吉野町2-1
電話番号 0172-32-8950
開館時間 9:00~17:00
休館日 火曜(祝日の場合は翌日に振替)、年末年始
観覧料 一般1,500円※展示会ごとに異なる
https://www.hirosaki-moca.jp/

2024.07.27(土)
文=栗本千尋