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 生見愛瑠さんの活躍ぶりがすさまじい。バラエティー番組でお茶の間に届けている、愛らしくちょっととぼけた“めるる”、雑誌のモデルとして同世代の憧れを一手に引き受けている“めるる”——それらのパブリックイメージとはまったく異なる、演技者としての“生見愛瑠”。俳優業では、キャラクターによって陽も陰もたくみに、繊細に表現する演技の幅に舌を巻く。明るく元気な“めるる”のニーズに応えるばかりでなく、ときに新しい“生見愛瑠”を追求して魅せてくれている姿には、ストイックな姿勢がにじむ。

 そんな生見さんが「大ファン」を公言しているのが、漫画『僕のヒーローアカデミア』。劇場版第四弾となる『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』で、生見さんはオリジナルキャラクターのアンナ・シェルビーノに扮した。声優は俳優とはまた勝手が違うと話す生見さんだが、その表情は新たなチャレンジへの達成感で満ちている。生見さんへのインタビュー前篇では、どのように作品に向き合っていったのか、その全容を聞いた。

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コロナ禍に見て勇気づけられた『ヒロアカ』

――『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』では声優業に挑戦されました。オファーがきたときは、どのようなお気持ちでしたか?

 とにかく『ヒロアカ』ファンだったので、すごくうれしかったです。以前、一度声優のお仕事をさせていただいたんですが、そのときは自分役でセリフもあまりなかったので、3分くらいで収録が終わっってしまって……。そのときから、いつか本格的にやってみたいなと思っていたのでダブルの喜びでした!

――『ヒロアカ』はいつからハマったんですか?

 最初に『ヒロアカ』を観たのはコロナ禍でした。友人に勧められて、時間があったので観てみたら……もう、ハマりました。当時、みんながすごく沈んでいた時期でしたよね。『ヒロアカ』は、勇気をもらえるストーリーだったので、当時の自分にすごく刺さったんです。めちゃめちゃ好きになって、今でももちろん追っていますし、『ヒロアカ』きっかけで、いろいろなアニメを見るようにもなりました。

――『ヒロアカ』が生見さんの世界を拡げてくれたんですね。

 そうなんです。元気づけられています。あとは、キャラも多いので推し活もできるっていう(笑)。私は今、峰田(実)推しです。……たまに変わるんですけど、峰田が今は一番好き。あのくだらない感じも含め、愛らしくて!ドキドキするシーンのときに、峰田が映るとほっとするというか、ちゃんとコメディ要素もあるところが好きなんです。

台本の読み方を木村昴さんさんに教えていただいた

――今回は、そんな生見さん愛する『ヒロアカ』の世界の一員となったわけですが、本格的に声優業にチャレンジされて、いかがでしたか?

 本当に何もかも、俳優のお仕事とは違いました。まず、台本の読み方がわからなくて。『ヒルナンデス!』を一緒にやっている声優の木村昴さんに、読み方を1から教えていただきました。俳優の現場はメイクも衣装も含めてその役になって入るけれど、声優だと外見は自分のまま声だけで役に入っていかなくちゃいけないのが難しくて。

 それでも一生懸命身を削って声を出したりしているうちに、「え、自分ってこんなに大きい声出せるんだ?」という発見もありましたし、終わってからは爽快感がありました。

――ちなみに、木村さんからはどんなアドバイスがあったんですか?

 「喉も筋肉だから、よくストレッチして伸ばしていったほうがいいよ」と言ってくださったので、忠実にやってから行きました。あとは……「大丈夫だよ!」みたいな、温かい励ましもくださいました(笑)。

――ストレッチ以外で事前に準備されていったことは何かありましたか?

 台本を読み込むことと、もう1回『ヒロアカ』を見直したこと、ですかね。『ユアネクスト』にも登場するレギュラーキャラクターが目立つシーンを観たり、過去の映画を観たり。あとは特に自分の好きな回を観ていました。好きなシーンはオールマイトとワン・フォー・オールの戦いのシーン、爆豪と緑谷の対決、轟とエンデヴァーのシーン…あげればキリがないくらい、全部好きです!

2024.08.01(木)
取材・文=赤山恭子
写真=平松市聖
ヘアメイク=菅長ふみ(Lila)
スタイリスト=伊藤ミカ