意外にまったくシャーシャーしていない
主催者である「ねこかつ」代表の梅田達也さんにうかがうと、いつもと違う状況では、シャーシャー猫はおとなしくなるそうです。
みんな、じっと静かに、気配を消しているようでした。
シャーシャー猫というのは、もとも攻撃的なわけではなくて、とても臆病だからこそ、人に馴れなくて、シャーシャーしがちなのかも……?
「ねこかつ」さんは2013年から10年以上、保護猫の譲渡活動を続けていますが、今回初めて「シャーシャー猫だけ」「最強の保護猫譲渡会」という絶妙なネーミングの会を実施しました。
「ねこかつ」代表・梅田さんによると、当日、会場に来ていたのは44匹。
譲渡の申し込みがあった猫のケージには、「お声がかかりました」の札が付けられます。
この日、44匹中、18匹の猫に申し込みがあったそうです。
譲渡の条件は団体ごとにさまざまですが、「ねこかつ」さんで必要なのは、「完全室内飼育( ケージ飼育不可・ 脱走対策含む)/ペット飼育可のおうちであること/同居するご家族全員の賛同があること/生涯愛情と責任をもって家族の一員として迎えてくださること/身分証明書をご提示頂けること」など。
上のような条件が合って準備が整えば、後日、スタッフが申し込み者の家まで猫を届けてくれます。そこからトライアル(お試し飼い)を2週間ほど、というのがいつものプロセス。
しかし、なにしろシャーシャー猫です。
「通常のお試し飼いは2週間ですが、今回は人馴れしていない猫たちなので、4週間くらいは必要かもしれません」(「ねこかつ」代表・梅田さん)
トライアル期間終了後に、再度スタッフが家を訪ねて状況を確認し、問題がなければ、本譲渡となります。※
※本譲渡の際には、医療費の一部負担金として、1頭につき35,000円を「ねこかつ」に支払います(一部負担金の内訳:不妊/去勢手術・ワクチン接種・マイクロチップ・ウイルス検査・寄生虫駆除・その他医療処置費用)。
「ねこかつ」さんは、常に250匹ほどの猫を猫カフェの店舗とシェルター、協力家庭で保護しています。猫をよく知る人たちが心を込め、丁寧にお世話していても、どうしても人馴れしない猫たちはいる。
そんな子たちは、譲渡後、家の環境や飼い主との関係性により、ゆっくり馴れていく場合もあるけれど、やはりずっと馴れない可能性もあるそうです。
じゃれてもらって一緒に遊びたいとか、一緒に寝てほしいとか、そんな猫好きの甘い夢のレベルを超えて、シャーシャー猫をそのまま受容する覚悟のある猫上級者こそが、「集え! 強者たちよ!」の「強者」というわけです。馴れてくれなくても、その猫のあるがままを、かわいいと思える人たち。
今回は話題性もあり、大盛況だった「シャーシャー猫だけの譲渡会」。
でも、「ねこかつ」代表・梅田さんによると、これから頻繁にシャーシャー猫の譲渡会を開く、というわけではないそうです。かなりの上級者向けですからね……!
「ねこかつ」さんの譲渡の条件はいろいろありますが、最後の項目がいちばん大事かもしれません。
「ねこかつにいるときよりも幸せにしていただくこと」。
もちろん、シャーシャー猫ではない、ひとなつっこい猫だって、飼う前に覚悟が必要なのは同じ。どんな状況になっても、愛情と責任をもってさいごまで飼い続ける覚悟です。
1匹でも多くの猫たちが、生涯を幸福に過ごせますように!
保護猫カフェ ねこかつ
家族を探している猫と出会える保護猫カフェは「川越店」(埼玉県川越市)と「大宮日進店」(埼玉県さいたま市)の2店舗。
また譲渡会を毎週各地で開催している。
2024.03.20(水)
文・撮影=CREA編集部