はじめての作品賞は「スキップとローファー」に!
![左から:作者の高松さんの代理でトロフィーを受け取る、講談社「アフタヌーン」編集部の宮崎孝士さんと菊田さん。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/7/e/1280wm/img_7ead4fb17aeb9c91805aba92d7a07e56114820.jpg)
もう一つ、胸に迫ったのが今年度から新設された「作品賞」です。この作品賞は、「登場人物全員を讃えたい」「まだキャラクターの個性が見えていないけど、どうしてもこの作品を推したい」という声に応える形で、新設されたもの。
CREA編集部一同も大好きな作品ですが、「特定のキャラクターだけを表彰するのではなく、キャラクター同士の関係性が魅力的、作品全体の世界観を賞賛したい」という審査員の思いが一致して決定したという受賞理由を聞き納得。
![『スキップとローファー』©⾼松美咲/講談社](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/c/8/1280wm/img_c89046c6d4e1f897d30fec586eb51c32113428.jpg)
『スキップとローファー』は、⽯川県の過疎地から将来官僚になることを⽬指し、⾼校⼊学とともに上京した主⼈公・岩倉美津未を中⼼に繰り広げられる、⾼校⽣の⻘春やさり気ない⼼の機微が描かれる作品。何事も⼀⽣懸命な主⼈公の素直さやポジティブさに触れることで、クラスメイト達もいつの間にか⼼がほぐれたり、⾃分なりに頑張ってみたりと影響を受けていきます。
作者の⾼松美咲さんからは「このたびは作品賞に選んでいただいてありがとうございます。1月に、能登半島で大震災が起きました。作中出てくる美津未の故郷として登場した風景のほとんどが失われました。被災された方々の穏やかな時間を取り戻すまでには、本当に長い時間を要します。
これからも『スキップとローファー』を娯楽として気楽に楽しんでいただきたいことに変わりはありませんが、時々、被災地の事を気にかけていただけると嬉しいです。そして、面倒が理由で連絡を先延ばしにしていた親しい人に会いに行って、一緒においしいご飯を食べてください」とコメントが寄せられました。
![ブックライブ書店員・すず木さん。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/0/1/1280wm/img_0142394a5fefbc8f374f642ca40be0f463238.jpg)
審査員のブックライブ書店員・すず木さんは「現代はタイパやコスパが重要視されて、間違いを犯すということが避けされがちだと思いますが、この物語は間違えてもいいんだと、周りの人や自分自身を大切にしようと思わせてくれます。今の時代にこそ求めされている作品ではないでしょうか」と訴えました。
![推薦理由を熱く語るハナコの菊田さん。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/a/f/1280wm/img_afd504b6b7f393680b500ae81ad2d1ca235545.jpg)
ハナコの菊田さんは「少女マンガは普段読まないんですけど、ドハマりして。マンガを読んで初めて『うわっ』って声が出たんです。それくらい素晴らしい作品なので、読んでない方は、主人公・みつみちゃんの不思議な魅力にハマっていただきたい」と語りました。
2024.03.15(金)
文=CREA編集部
撮影=深野未季