長崎県南部に位置する雲仙市。波が穏やかで豊かな海の幸をもたらす橘湾と、100℃を超える熱湯の源泉となるマグマを湛える雲仙岳を擁するこの土地は、地球のエネルギーに満ちている。

 海と山が近く、豊かな自然が広がる雲仙は、日本初の国立公園にも指定されたように、この地にしかない魅力が満載。生命力に溢れた元気な農作物、瑞々しい新鮮な海産物。四季折々に美味しい食材が採れ「こんなに豊かな土地があったのか」と思わず驚く土地、それが雲仙なのである。

 そんな雲仙の豊かな食材を島原半島のシェフたちが総力を結してコースに仕上げる、贅沢極まりない「天幕レストラン」が過日開催された。レストランの開催は1日限り。雲仙を存分に味わうことのできる特別な催しをレポートする。

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避暑地として栄えた明治中期に着想を得て生まれたレストラン

 「天幕レストラン」はその名の通り、雲仙の自然の中、屋外に天幕を張り、その下でお酒と食事を楽しむスタイル。実はこの様式は明治中期の雲仙で海外からの観光客が行っていたスタイルだそう。

 当時、上海の英字新聞に避暑を兼ねた温泉地として紹介されると、雲仙には上海租界などから欧米人がどっと押し寄せたんだとか。長期滞在する海外の観光客たちは、ハイキングや乗馬、プールなど自然を上手に活用しながら雲仙滞在を満喫。その楽しみ方のひとつが「天幕レストラン」の原点となっているのです。

 今回の天幕レストランは2回目の開催。昨年夏に開催された第1回の天幕レストランは国東半島自然公園で海をテーマに開催されました。冬のテーマは「大地」。島原半島を形作る千々和断層に位置し、雲仙を一望できる「牧場の里 あづま」で開催する予定でしたが、生憎の悪天候で急遽室内での開催に変更になってしまいました。残念!

 雲仙を代表する雄大な自然の中での開催はかなわなかったものの、冬ならではの雲仙の極上の食材、そして雲仙を愛するシェフたちがずらりと揃いました。

 さあ、いよいよ天幕レストランがスタートです。

2024.03.04(月)
文・写真=CREA編集部