社員同士の絆が深まるペット同伴出勤

 なんともリラックスした雰囲気でオフィス内を案内してくれたマロンさん。そんな様子を愛おしそうに見つめていたのが、品質保証を担当する飼い主の井上智裕さんです。

「実はずっと犬派だったんです。ビーグルと一緒に散歩するのが長年の夢で。ところが妻の強い希望でマロンと暮らし始めて3年。のんびりした人間好きの性格にもうメロメロです」

 月に1回程度、マロンさんと一緒に出社するそう。

 「ワンちゃんを連れてくる社員は多いのですが、性質的にオフィスに出社できる猫はけっこう貴重な存在。だからなのか、他のメンバーに『そろそろ連れてきて』って言われるんです。マロンは私の足元で寝たり、オフイスを探検したりと、自由に過ごしています。

 仕事の効率はそんなに上がりはしませんが(笑)、マロンをきっかけに、普段話をする機会が少ないメンバーたちと会話できるのは、いい刺激になりますね」

 広報・渉外部 ディレクターの中村さんもまた、ペット同伴出社は社員同士のコミュニケーションに寄与していると言います。

 「コロナ禍を経てオフィスに人が戻ってきましたが、コロナ禍に入社した人が業務で関わらない人とのオフィスでの会話のきっかけが難しい、という声も。そういう時、ペットがいると自然と会話が生まれ、どんどん仲が深まっていくんです。

 なかには、これまで動物に親しみがなかったのに虜になる人もいたりして。猫や犬とオフィスで一緒に過ごすことで、仕事の効率以上の何かが生まれ、人と人とを繋いでくれている気がします」

 社員にいい効果をもたらしているペットフレンドリーオフィス。反対に、動物が苦手な人やアレルギーのある人に対しての配慮も。

「ペットを連れて出社する日がわかるようにスケジュールを共有し、事前にリモートワークに切り替えられるようにしています。しかしどちらかというと、ペット同伴日に合わせて出社する社員の方が多いですね(笑)」

2024.03.03(日)
文=船橋麻貴
写真=深野未季