また、知ってもらう機会というか、きっかけ作りとしての配信という位置づけもあると思います。実際、K-PROの配信を見て、「夏休みなので劇場に初めて来ました」という地方のお客さんも多かったです。一概に配信といっても、もっと多角的な配信サービスが展開されていくと思いますね。

――それこそK-PROが多様なライブを企画したように、人によって楽しみ方が変わる配信が増えそうですね。

児島 ライブで人を集められる、チケットがきちんと売れる芸人さんが地方で単独をするようになったとき、「昔、配信で見てました」というようなお客さんとのつながりを作れたらいいなって思っています。

 ただ、どこでも見られるという意味では配信は利便性が高いのですが、やっぱり芸人さんに聞くと、「テレビに出たい」と言うんですよ。親を安心させたい、地元の友だちに自慢したい。それってテレビだけが持つパワーなんですよね。ですから、テレビが盛り上がることもとても大切なことだと思います。K-PROとしては、きちんとバラエティにも対応できるような若手をのびのびと育てていきたいです。その上で、ちゃんと舞台にも戻ってきてくれる芸人さんが理想的(笑)。

 ボキャブラブームをきっかけにお笑いが好きになった私もそうですけど、お笑いブームって“テレビきっかけ”なんですよね。だからライブシーンからもムーヴメントを起こさなきゃいけないと思いつつ、これを一過性のブームにしてはいけない、テレビに元気がないという状況でも舞台をブームで終わらせたくない。テレビからブームが生まれて、負けじとライブも盛り上がる。そうした構図ができることが望ましいと思いますね。

2023.10.13(金)
文=我妻弘崇