「テレビに出ていない=売れてない」ではない

――『お笑い成人式』や『THE SECOND』で、実力者たちが評価され、ウケているのを見ると、やっぱりうれしいですよね。

児島 「テレビに出ていない=売れてない」ではないんですよね。そういう売れる・売れないの大前提を変えたいって思うんです。「ライブに出ている=売れてない」と言われることに対して、ウエストランドの井口くんもすごく怒っていて。「俺はテレビにも出ていて、めちゃくちゃ忙しいけど、時間を作ってライブに出ている。それでも俺のことを売れてないって言うのか? 違うだろ!」って。

「先輩たちが『テレビに出れたから、もうライブはいいや』って言って出ないから、ライブに出ている人間が売れてないって言われちゃうんだぞ!」って井口くんが言ってくれるようになって……しかも、M-1チャンピオンになってからも言ってくれる。だから、この先のチャンピオンたちは井口くんが言う以上、ライブを捨てられない状態になると思いたいです(笑)。

――「ライブの方がもっと面白いじゃん」という状況になってくれたら理想ですよね。それこそトークもコーナーも面白ければ、ライブにしかない体験がありますから。

児島 そうしていきたいし、そうなってほしいですよね。本当に井口くんの一言って大きいと思うんです。井口くんと一緒にずっとライブシーンでやってきた若手たち――今、その子たちがちょうど先輩になるぐらいの時期でもあるので、いい感じにそういうカルチャーがつながっていってくれたらいいなと思います。

 

ブレイクする芸人の条件

――約20年にわたってお笑いライブを手掛けてきた児島さんは、無名だった若手が人気者になるまでを見ています。売れる人に、共通項などはあるのでしょうか? 

児島 共通することは、何というか笑顔で引っ張ってくれたり、空気を変える力を持っていたりする人は売れるのではないかと、私は信じていて。

 でも、ブレイクの雰囲気って、芸人さんのほうが噂は速いんですよね。芸人さんが、「あいつ、今日は何のネタやるんだろう」と言いながら舞台袖に集まってくるような人は、売れる前兆ですね。オードリーさん、バイきんぐさんもそうでしたし、テレビに見つかる前の四千頭身も芸人さんが袖に集まり出していましたね。

2023.10.13(金)
文=我妻弘崇