同期の一番面白い人をトップに見立ててピラミッドを考えたら、「なんで自分は出られないんだ?」となるけど、お笑い界のピラミッドで見たらどうなるか。さんまさんやダウンタウンさんがトップで、その子たちは否応なしにものすごく下にいるわけです。自分がライバルだと思っている同期も同じ場所にいるんですよ。「じゃあ、そんなこと言わずに頑張りなさい」と言ったら、納得して帰っていきました。めちゃくちゃ言いくるめています(笑)。
――ぐうの音も出ないです(笑)。その他にも、お笑い界を生き抜くための戦略的なアドバイスをしているのでしょうか。
児島 例えばキングオブコントを1回戦で落ちた人の単独ライブって、観に行きたくないじゃないですか。1回戦で落ちて悔しがっているんだけど、「今度、単独来てください!」って告知している。それって違うと思うんですね。
私たちは所属に対して、「単独ライブをやりたいんだったら、無理に賞レースは出なくていいよ」とも伝えています。今のところキングオブコントは芸歴制限がないですから、ある程度力がついて、「あいつらが出たら優勝するんじゃないか」みたいな雰囲気ができたら出ればいい。単独ライブができるくらいまでネタを磨いた方が、結果的に力もつくと思います。
とは言え、私たち自身、常に勉強中の身だと思っているんです。いろいろな芸人さんと出会って、芸人さんから学んできたことってたくさんあります。新しい芸人さんから教わることだってあるはず。キャリア問わず、超若手であっても「何でも言って」と伝えています(笑)。それがK-PROの強みになると思っているので。
お笑い業界の「これから」
――コロナ禍を機にライブ配信が定着化しました。売れる、人気者になるまでの構造も変わってくるのではないかと思います。「これから」を見据えたとき、児島さんはどうお考えですか?
児島 「テレビに出る=売れる」ではない時代が絶対に来ると思っています。その中で配信サービスも大きな役割を担うと思うのですが、吉本さんの配信はおそらく日常的にテレビを見るような感覚で見ているファンが多いのではないかなって。半面、他事務所は人気者を追うためのツールとしての配信、という位置づけになるのではないかと思っています。
2023.10.13(金)
文=我妻弘崇