――2018年からK-PROは所属芸人を持つようになりました。なぜ、自分たちで?

児島 『ゴッドタン』をはじめ、いろいろな番組から「面白い若手はいないですか」「とがってる若手はいませんか」といった問い合わせをもらうことが多かったので、周りから「所属を取ればいいのに」ってよく言われていたんですよ。やっぱりライブを中心に活動しているからこそ、自分たちが育成した芸人が賞レースで優勝して凱旋する――ライブに戻ってきて、さらに盛り上げてくれるような芸人がいたらいいなと思って、所属を取るようにしました。

 あと、ライブを開催するために常に他の事務所から芸人さんをお借りしている私たちからすると、テレビで売れてしまうと、ライブでネタをしなくなってしまうのがさびしいんですよね。マネージャーさんの意向で、どうしてもテレビ優先になってしまうことが何度もあって。この子たちはネタが面白いのにもったいないって思っちゃうんです(苦笑)。だったら、自分たちのライブを盛り上げるためにも、人気が出てからも継続的にライブに出演する所属芸人を育てられればいいなと。

――とは言え、児島さんが自分の事務所の子たちに肩入れするのでは……と、心配する芸人も多いような気がします。

児島 あいさつの仕方から教えて、出演者にあいさつ回りをうながしていた私の姿を見て、井口くんから「ちょっと過保護すぎるんじゃないの!?」って言われましたね(笑)。

若手芸人の諭し方

――「お笑い界の母」というか、もう保護者じゃないですか(笑)。

児島 私が所属芸人に付きっきりになってしまうんじゃないかって思われがちですけど、そんなことはなくて、所属芸人もそれは理解しています。むしろ、他事務所の芸人さんよりも厳しいです。うちに所属している若手が「芸歴が一緒のあの子がライブに出られるのに、何で自分たちは出られないんですか?」って食って掛かってきたことがあったんですね。そのとき私は「小さい視野で見ずに、お笑い界全体を俯瞰して見なさい」と伝えました。

2023.10.13(金)
文=我妻弘崇