この記事の連載

上を見るより「自分はどうするべきか」を考える

――他の人と比べなくなったのはいつ頃からですか?

 30歳を過ぎてから。上をみたらキリがないから自分はどうすべきか、考えるようになりました。

 私がキャビンアテンダントの仕事をしていたので「憧れます」と言ってくれる人はいるけど、私が務めていた外資系の航空会社は勤務時間が長かったんです。日系の航空会社だと多くても1カ月で80時間ほどしか搭乗しませんが、私が働いていた外資系の会社は120時間で、全然違うんです。

――「日系CAと外資系CAの明らかな違い」のネタの動画が大好きで、あの動画を観ると雰囲気の違いがすごくよく分かります。

 もちろん脚色はしてますが、完全に嘘というわけではないです。

 勤務時間でいえば日系のほうが良いけど日本の航空会社は「お客様は神様です」といった感じでとても丁寧に対応しますよね。無理をしてるんじゃないかと思うほどの優しさです。

 一方、外資系の航空会社はお客さんに対して「ノー」と言うべきことは「ノー」とハッキリと言います。

――日本は丁寧すぎて、結果的に自分たちの首を絞めてるんじゃないか、とも思ってしまいます。

 自分の意見は絶対にハッキリと言ったほうがいいんです。

 日本人は勉強家で、よく働く印象が海外に広まっていて、私はそれを良い方に捉えていたけど、それで嫌な目に遭ったんです。ある日、フライト中に休憩していた時、束の間の時間でご飯を食べようと思ったら呼び鈴が「ピンポーン」と鳴ったんです。私が気づいたからお客さんのところに行って対応して戻ってきてご飯を食べようと思ったら、また別のお客さんが「ピンポーン」と鳴らしたんです。

 ほかのキャビンアテンダントから「COCO、行ってきて」と言われてお客さんの対応をして戻ってきたら、また別のお客さんが「ピンポーン」と鳴らしたから、今度はほかの6人の誰かに行ってもらおうとしたら「だって、あなたはお客さんにサービスするのが好きなんでしょ?」って言われたんです。

 「いやいやいやいや、そうじゃねーよ!」と(笑)。どうやら、日本人は真面目でお客さんの要求にこたえるのが好きだと思われてたんです。だから「他の人も行ってくださいよ」って言って、そのあとはずっとコーヒーを飲んでました(笑)。

2023.10.13(金)
文=やきそばかおる
撮影=鈴木七絵