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 インタビューの場所にCRAZY COCOさんが一歩入ってきた瞬間から、その場が舞台のように明るくなる。「第一印象が大事だから」と語るCOCOさんだが、その印象の明るさとパワフルさたるや!

 子どもの頃からさまざまな選択を自らしてきたというCOCOさんは、外資系航空会社のキャビンアテンダントなど多くの職歴を持ち、35歳でお笑い芸人の道に進む。そして2023年4月、主に10代をターゲットとしたラジオ番組「SCHOOL OF LOCK!」の“教頭”となった。

 10代の若者が“もうひとつの学校”にラジオ越しに集う場所で、彼女だからこそできる10代へのメッセージは、「大人にも響く」と好評だ。

 前篇では、10代と向き合ってきたこの半年の想いと自身の10代を語ってもらった。


「SCHOOL OF LOCK!」は思った以上に“学校”だった

――「SCHOOL OF LOCK!」では番組を聴いている10代の”生徒“の皆さんの悩みにアドバイスをすることも多いと思いますが、番組に携わってみていかがですか?

 はじめの数カ月は思っていた以上に大変でした。

 私のアドバイスは10代に向けた内容というよりは、働いている20〜30代に向けた内容になっていたようで、スタッフの方から「先生からのアドバイスというよりは、知り合いのお姉さんみたいな遠い存在の人からのアドバイスになっている」と指摘されたことがあるんです。

 「私の前に生徒の皆さんがいて『みんなは週末、どうだった?』と実際に教室で教卓に立つのをイメージしながら接するといいですよ」と言われて「なるほど!」と思いました。

――確かにそうですね! いろいろあったと思うのですが、この半年で特に印象に残っている企画はなんでしょう。

 学校の夏休みが終わる頃(2023年8月21日[月]放送)に放送した「しんどー相談室~学校に行くのがしんどい~」ですね。

 ちょうど「学校に行きたくない」と思う人が増える時期。この時は生徒への寄り添い方が難しかったです。悩みを聞いていて「頑張れば大丈夫なんじゃないか」と思っても、生徒がしんどい状況なのにそれを言ってしまうと余計に心が苦しくなってしまうかもしれません。

 この日は私がうまく言葉を添えられなかったという悔しさが残りました。かといって、上辺だけのことは言いたくないという思いもあって、今後の課題でもあります。

――難しいところですね……。

 自分が経験したことだったら何らかの答えを導くことはできるけど、学生時代に経験したことがないことに対して、何と声をかければいいのか、というのは今でも悩みどころです。

 クラスの子となじめないという悩みは昔からありますが、今の10代はSNSに関する悩みがついてきます。LINEの既読がつかない、読まれたとしても既読スルーされるとか。SNSを気にし過ぎて、嫌われているような気がして学校に行きたくなくなる人もいると思います。

2023.10.13(金)
文=やきそばかおる
撮影=鈴木七絵