この記事の連載

「ひとり暮らし」の基本セット

 私個人の好みと感覚で、「ひとりで暮らすなら最低限これだけのうつわは持っていく」というお話をしましょうか。まず主菜をのせる用として、七寸皿を1枚。直径が約21センチあり、炒めものをドンとのせるにもよし、パスタ皿やカレー皿にもよし、冷やし中華や焼きそば、あるいは食パンに小さなオムレツとサラダなんていうワンプレートにするのにも適しています。

 そして、ごはん茶碗と汁もの用のうつわを1点ずつ。汁用は漆や木製のものもいいのですが、手間がかからず値段が手ごろであることを優先させたい場合は、陶磁器の汁用うつわをおすすめします。それらにプラス、副菜をのせる用の五寸皿を1枚付けたいですね。直径が約15センチ、ケーキやくだものをのせるのにもいいし、取り皿にもちょうどいいサイズです。

 ご自身の生活に合う基本のセットが揃ったら、好きなもの、気になるものを自由に足していってほしいです。民藝のうつわは時間と共に、使っていくうちに風合いが変わっていきます。それは「使う人が育てた」ということに他なりません。その「育ち具合」とは使った人、一緒に使った家族の時間が投影されているのだ、と私は思っています。

みんげい おくむら

http://www.mingei-okumura.com/​

白央篤司

フードライター。「暮らしと食」をテーマに、忙しい現代人のための手軽な食生活のととのえ方、より気楽な調理アプローチに関する記事を執筆する。近著に『台所をひらく 料理の「こうあるべき」から自分をほどくヒント集』(大和書房)がある。
https://www.instagram.com/hakuo416/

次の話を読む「ざっと適当に盛るだけでセンスよく 見える」…料理研究家が愛用する うつわとは? ひと目惚れ皿紹介も

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Column

うつわのある暮らし

食を彩る素敵なうつわとともに日々を過ごす。憧れるけどなにから始めたら? フードライターの白央篤司さんが、「うつわのある暮らし」を始めるヒントを探りに、うつわの専門家を訪ねました。

2023.10.03(火)
文=白央篤司
撮影=平松市聖