日本における最新の世界自然遺産は、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」。このうちの2つの島を含む奄美群島は、名前は知っているものの、はっきりイメージがつかめていないかも? そこで、奄美群島の奄美大島、喜界島、ヨロン島へ。そこには世界に自慢したくなる、魅惑の島々が待っていました!


島々の成り立ちや位置などの偶然が重なった奇跡の島々、奄美群島

 2021年に世界自然遺産に登録されたことで、一躍世界の耳目を集めた奄美群島。登録された奄美大島、徳之島をはじめ、個性際立つ8つの有人島からなります。

 具体的には奄美大島、喜界島、加計呂麻島(かけろまじま)、請島(うけじま)、与路島(よろしま)、徳之島、沖永良部島(おきのえらぶじま)、ヨロン島。名前を知っている島もあれば、初めて聞く名前の島も。一体、どんなところでしょう?

 奄美群島の特徴のひとつは、多様な動植物の楽園であること。

 奄美群島は、鹿児島の南南西約380キロの奄美大島を起点に、約200キロにわたって弧を描くように島々が点在しています。

 この島々はかつてユーラシア大陸の東端部分にあたり、地殻変動によって分離されて誕生しました。島々の近くを流れる黒潮や、渡り鳥が動植物を運び、気候変動などによって、独自の生物相が形成されました。

 さらに興味深いことに、奄美群島の北のトカラ列島には、渡瀬線という生物の分布境界線があり、気候も温帯と亜熱帯の境目になっています。つまり北方系と南方系の生物が出会う場所なのです。

 年間平均降水量3000ミリという豊かな雨が、動植物のゆりかごである豊かな亜熱帯性の森を育みます。一方、海にはサンゴ礁が広がり、これも魚をはじめ多様な海洋生物たちの住処になっています。いろいろな要素が絡み合って、奄美群島は様々な動植物たちにとって居心地のいい場所になっています。

 加えて豊かな自然に寄り添った島の暮らしは、独自の文化や慣習、伝統芸能を培いました。そうしたバックボーンの上に、島ごとの個性がプラスされ、それぞれキャラの立った島々ができあがったわけです。ちなみに、奄美群島は国内34カ所目の国立公園でもあります。

 そんな奄美群島の中でも、今回は奄美大島、喜界島、ヨロン島へ。どの島にも世界に誇りたくなるハイライトや絶景がありました。自然を満喫し、郷土の伝統や名産を楽しみながらの島めぐり。まずは奄美大島からスタートです。

2023.09.10(日)
文・撮影=古関千恵子