日本における最新の世界自然遺産は、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」。このうちの2つの島を含む奄美群島は、名前は知っているものの、はっきりイメージがつかめていないかも?
そこで、奄美群島の奄美大島、喜界島、ヨロン島へ。そこには世界に自慢したくなる、魅惑の島々が待っていました! 今回は驚くべき隆起速度の喜界島と幻の島が浮かぶヨロン島です。
【喜界島編】豊かなサンゴ礁の喜界島の、世界レベルのスゴいコト
![喜界島のメインビーチは空港から車で約3分のスギラビーチ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/7/3/1280wm/img_738ee289d433085d068c18ee276376b199269.jpg)
奄美大島の東、約25キロに位置する喜界島。奄美大島からは飛行機でわずか15分。大げさではなく、離陸して安定飛行に入ったと思ったら、着陸準備のアナウンスが流れるという近さです。
![奄美空港から約15分、鹿児島空港からは約1時間15分で喜界空港へ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/a/f/1280wm/img_af6c0fc2163e1d8cbb79f4ff252373c9117863.jpg)
そんな喜界島には世界でもトップクラスのコトがあります。
それは、島の隆起速度。10万年前に海底から顔を出したサンゴ礁が島となり、その後も島が隆起して浅くなった海域にサンゴ礁が形成されてはまた隆起し……を繰り返し、隆起したトータルの高さはなんと214メートル!
![テーブル状の4段の段丘が一望できるテーバルバンタ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/8/1280wm/img_58ee8243a949751bfc7f8fd584a0b382147728.jpg)
年平均にすると、2.1ミリずつ隆起した計算になり、これが世界有数の速さなのです。ただし、毎年同じ速度で成長しているわけではなく、ドカンと成長した地質的なイベントが複数回あった結果ではありますが。
![浜辺で見つけたサンゴの化石。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/4/0/1280wm/img_40b6e930f73ae0ff90c398ef118ae25d252264.jpg)
そうした地質的なイベントの形跡が見て取れるのが、景勝地のテーバルバンタ。階段状になった段丘は、てっぺんが10万年前、次の段が8万年前、その次の段が6万年前、集落があるあたりが7,500年前に、ドカンと隆起したそうです。目の前にあるのは、10万年もの間に起きた島の記録……。そう思うと、感慨もひとしおです。
それだけサンゴが豊かな島である喜界島。メインビーチのスギラビーチもサンゴのリーフで囲まれた、波のないまるで天然のプール。約250メートルにわたるビーチとアイスブルーの浅瀬のコントラストが美しく、ビーチ中央にどっしりと構える巨大な岩が景観のアクセントになっています。
![リーフが外海の波をブロックし、いつも穏やか。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/b/b/1280wm/img_bbd598d7aa30fd5a078fe67ab3af6f3c81462.jpg)
この巨岩に、注目! 実はこれ、2,000~3,000年前のサンゴ化石が積み重なった隆起サンゴ礁。上に行くほど新しく、下に行くほど古いサンゴの化石を見ることができます。サンゴの間に挟まったまま化石になった貝なども観察できます。
![よく観察すると、サンゴの間に貝の化石も発見。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/b/9/1280wm/img_b94c23b2970babb68b4544b62acb5e17120977.jpg)
スギラビーチの浜辺には、真っ白なサンゴの欠片もたくさん。このビーチは海ガメが産卵に訪れ、夏にはオカヤドカリがアダンの木陰から現れます。
![スギラビーチのお隣の穴場ビーチ‟ナガラ”。隠れ家感も上々です。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/0/f/1280wm/img_0f5abd221c8e9a818b72420607e5f6a5104206.jpg)
2023.09.14(木)
文・撮影=古関千恵子