「精子ストロー」日本の購入者の52%がシングル女性、28%が夫が無精子症、7%が戸籍上の性を変えた夫婦、13%が同性カップル

世界各国では精子・卵子の営利目的でのあっせんの禁止を解くための法改正がなされる中、日本では超党派の議員連盟があっせんの禁止を明記した法骨子案を提出(2023年3月)。
世界各国では精子・卵子の営利目的でのあっせんの禁止を解くための法改正がなされる中、日本では超党派の議員連盟があっせんの禁止を明記した法骨子案を提出(2023年3月)。

 精子には値段が付く。ギネスにも認定された世界最大の精子バンク「クリオス・インターナショナル」では、精子の入ったストローを1本38ユーロ~1273ユーロ(約5500円~18万6000円)で販売している。

 値段を決める一つの要素は運動精子の数(精子数×運動率)で、これが高いほど値段も高くなる。購入者の多くは人工授精、つまり精子をカテーテルに入れて子宮に注入する。

 運動精子の数が多いほど卵子にたどり着き、妊娠に成功する可能性が高いため、運動精子の数は重要だ。ただし、顕微授精の場合は人間の手によって精子を卵子に注入するため、精子の数にこだわる必要はない。

 2019年にクリオスの日本語窓口が開設されてから、購入者は昨年10月時点で500人を超えた。購入者の52%がシングルの女性、28%が夫が無精子症の夫婦、7%が夫の戸籍上の性を女性から男性に変えた夫婦、13%が同性のカップルだった。

 男性の50人に1人が無精子症といわれる昨今、精子の需要はますます増えると思われるが、提供精子・卵子を用いた生殖補助医療の法制化に向けて超党派の議員連盟が3月、精子・卵子の営利目的でのあっせんの禁止を明記した法骨子案を提出した。

 クリオスの日本事業担当ディレクターの伊藤ひろみさんは、「世界各国では無精子症の男性や子どもを望む性的マイノリティたちの希望を受け止め、むしろ禁止を解くための法改正をしています。日本でも安全管理がなされた民間の精子バンクの活動を認めていただきたい」と話す。

数字で見えてくるものは

2023.09.19(火)
text=Atsuko Komine
illustration=Ayumi Takahashi

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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