自然妊娠・出産が可能なのは「閉経の10年前」まで?
いったい何の10年前かというと、ズバリ「閉経」。女性には閉経する10年前および20年前に何かあるらしい。産婦人科医の船曳美也子さんに聞いた。
「排卵を抑制する経口避妊薬の研究が始まったのは1950年でした。このピルの登場以前、つまり妊娠をコントロールしにくかった時代の生理・分娩についてヨーロッパで調査した統計があります。それによると、妊孕性(妊娠のしやすさ)が落ち始めるのが31歳、最後に子どもを産んだのが41歳、そして閉経が51歳でした。生殖年齢に国による違いはありませんから、日本の場合も同様であったと考えられます。
女性の寿命は当時より25年ほど延びましたが、いかに寿命が延びても、またどんなに生殖医療の技術が進んでも、生殖年齢は変わらないものなんです。現に、今も閉経の平均年齢は50~51歳ですね。ですからこのヨーロッパの統計から読み取れるのは、現代の女性も自然妊娠・出産が可能なのは閉経の10年前まで、さらにその10年前から妊孕性が下がり始める、つまり卵巣機能が落ち始める、いわゆる“卵子の老化”が始まるということです。
女性の生殖機能の変化は個人差が大きく、また、自分が何歳で閉経するかはわからないのですが、昔から女性には31歳、41歳、51歳の節目があるということは人生の大事な目安として覚えておくとよいでしょう」
●お話を聞いたのは……
船曳美也子(ふなびき・みやこ)さん
産婦人科専門医・生殖医療専門医。医療法人オーク会所属。医学部入学の前に神戸大学文学部心理学科卒という異色の経歴を持つ。著書に『あなたも知らない女のカラダ 希望を叶える性の話』ほか。
数字で見えてくるものは
2023.09.18(月)
text=Atsuko Komine
illustration=Ayumi Takahashi
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