この記事の連載

 常に挑戦を重ね、新境地を切り拓いていく七海ひろきさん。パイオニアとして活躍の場をどんどん広げていく七海さんの姿にファンは嬉しい悲鳴を上げ続けています。

 今回のインタビューでは、七海さんがこだわる“自分自身の在り方”について語っていただきました。あくまでナチュラルに、自分らしくいるというのが、七海さんの真髄にあるようです。

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“俳優”として、自分らしさをを貫いて進んでいきたい

――七海さんの退団後のお仕事を見ると、守備範囲の広さに目を見張ります。どうやってご自身で“挑戦するもの”を選んでいるのでしょうか。

 一つ一つを一生懸命にやっていくというのが一番です。活動としてはすべてが異なるものですが、全部が繋がっている、というのも感じます。

 例えば、アーティスト活動。最初は「私がアーティスト活動?」って思ったのですが(笑)、最近、声優をやることにより自分の声の響きを意識するようになったことをきっかけに、音楽関係の方から歌声の響きが良くなったと言われ、繋がっているなと思ったんです。

 ほかにも、様々な方との出会いも含めて、いただいた仕事を一つ一つ真剣に取り組むことで今に至っています。とにかく、周りの方に感謝です。

――ご自身のプロデュースも含め、プロデュースということにもご興味があるように思えます。男役を貫いていらっしゃる印象もあって……。

 今回、退団5年目になりますし、何回か取材していただいているCREAさんなので、この場を借りて自分の思っていることを少しお話させてもらいます。

 私は、“男役を貫いている”ということではありません。女役も演じてきています。ただ、宝塚を卒業後も舞台の上で引き続き男役を演じています。このスタンスについて、退団してからもたくさんの方に聞かれるのですが、私は“俳優”として、男役も女役も自分らしく演じている、という感覚なんです。

 私は宝塚での男役のキャリアがあるから、女役よりも自信を持って舞台に立つことができます。のびのび演じられるという点で、男役を演じるのはとても楽しいです。それは特に“大きな覚悟”ではなく、自分の中ではとても自然なこと。でも他の方から見ると少し不自然に見えるのだということにとても驚いたんです。自分にとっての“自然を貫く”のはチャレンジなんだと認識してからは、よりいっそう燃えています。
 

2023.08.22(火)
文=前田美保
写真=佐藤 亘