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 宝塚歌劇団のレジェンド的組長として、宙組をずっと率いていらっしゃった寿つかささん。どんなOGの方を取材しても、「素晴らしい上級生です!」と皆さんが口を揃えておっしゃる寿さんに、退団後初のインタビューを行いました。

 舞台に出てこられるだけで、圧倒的な存在感を放ちつつ、類稀なるバイプレイヤーとして宙組を盛り立ててこられた寿さん。生徒の皆さんが尊敬し、愛してやまなかった寿さんの“組長”としての姿に迫ります。

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宙組生として、卒業したかったという想い

――寿さんが退団されて約2カ月近くになりますが、今のお気持ちを教えてください。

 宝塚歌劇団という場所で育てていただき、数多くの経験をさせていただきました。劇団に入ったからこそ、自分はここまで来られたのかなという気持ちが大きいので、感謝しかありません。

 特に千穐楽に向けて最後の公演は、とにかくいつも通り。最後だから、退団者だからではなく、いつも通り舞台に立ちたいという思いと目標がありました。それでもお客様や宙組生、そしてファンの皆様から大きな大きな身に余る想いをいただき、幸せいっぱいに卒業することができました。

 私生活ではまだ片付けなどをしておりまして(笑)、宝塚で使っていたものなどを整理しながら過ごしています。気持ちも、持ち物もひとつずつ、整理しながら過ごしているのと、あとはコロナ禍で会えなかった方と食事をしたり、家族とゆっくり過ごす時間を作ったり、そうやって毎日を送っています。

――退団を決意された理由をお聞かせいただけますか?

 管理職・組長という立場を10年もさせていただいたうえ、私は発足から宙組生でしたので、「宙組生として卒業したい」という気持ちがずっと心にあったんです。

 コロナ禍という予期せぬ出来事もありましたが、時間をかけて卒業のタイミングを考えました。“受け継いでいく”という宝塚の世界は素晴らしいなと、改めて思いました。周りを見ても皆すごくしっかりした子たちばかりでしたし、宙組生として卒業するにはいいタイミングだったと思います。

 芸の道に終わりはないと思いますので、この世界で“完璧”というわけではありませんが、色々と経験させていただいたことの感謝と充足感はありました。“卒業”という宝塚のシステムも素敵だと思ったので、次を考えたときに退団という決意に至りました。

2023.08.22(火)
文=前田美保
写真=佐藤 亘