高橋さんはこれまでも『総門谷』にはじまり「竜の柩(ひつぎ)シリーズ」など、東北文化圏を背景に、多くの作品を書き継いできた。封じ込められている真の存在は何者か? 巨大な敵の正体は? 本作でも息もつかせぬ展開と圧倒的なスケールで謎解きは進む。

「東日本大震災以来、作家として書けないスランプの時期が長かった中で、前作『水壁』に続き、期せずして今回も東北が舞台になったのは、もう一度、この地の豊かさを取り戻したいという願いが、心の底にあったからだと思います。新聞連載が一冊にまとまった時、ようやく自分が物書きに戻ってこられたという実感が込み上げてきました」


たかはしかつひこ 1947年岩手県生まれ。83年『写楽殺人事件』で江戸川乱歩賞、92年『緋い記憶』で直木賞、2000年『火怨』で吉川英治文学賞、ほか受賞・著書多数。


(「オール讀物」7月号より)

オール讀物2023年7月号(ミステリー新世紀&第10回高校生直木賞)

定価 1,100円(税込)
文藝春秋
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2023.07.12(水)