「安全でおいしいものだけを食卓に届ける」をモットーに、売り上げを伸ばし続ける高崎市のスーパー「まるおか」の社長・丸岡守氏を、作家・角田光代氏が訪ねた。月刊「文藝春秋」4月号に掲載された二人の対談「安全な食材の選び方」の一部を転載します。
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「まるおかさんが近所にあれば」
群馬県は高崎駅から車で20分。巨大ショッピングモール「イオン高崎」の隣で売上を伸ばし続けるのがスーパー「まるおか」だ。店のモットーは「安全でおいしいものだけを食卓に届ける」。半世紀以上にわたり小売業を続ける丸岡守社長を、小説やエッセーで食や料理を描く作家の角田光代さんが訪ねた。
角田 じつは私、10年くらい前にスーパーマーケットで買い物するのをやめまして。
丸岡 ええ! どうしてですか。
角田 「レジ袋お持ちですか?」みたいな、マニュアル化されたやり取りが嫌になってしまって。肉は肉屋、野菜は八百屋に行っています。ところが今日ここに来て、なんだかとてもワクワクして。「まるおかさんが近所にあれば、毎日でもスーパーに行くのに」と思いました。
丸岡 ありがとうございます。
角田 お値段は多少高くても、お客さんはどんどん増えているんですか?
丸岡 そうですね。父から受け継いだ旧箕郷町から移転し、高崎に店を構えて8年目になりますが、おかげさまで売上はずっと右肩上がり。普通は5年くらいで頭打ちのようですが、落ちないです。
角田 お隣のイオンさんはもう、ひとつの街のように巨大ですね。
丸岡 ええ。年々拡張して、いまは200店以上入っているそうです。うちは小さな店ですから、品揃えに限界があるぶん、いいものだけギュッと厳選しているつもりです。
たとえばこの「寺田さんの甘いキャベツ」。12月下旬から3月上旬の間にしか手に入りません。毎年お客さんが入荷を待ちわびています。
角田 1玉で398円!
丸岡 ええ。一般的なキャベツより高価ですが、当店の大人気商品です。シャッキリした歯切れのいい食感と甘さが特徴で、芯まで食べられます。香りもすごくいい。
2023.04.04(火)
文=丸岡 守、角田光代