——お笑いが好きというよりは、頭に浮かんだ想像の世界を言葉で表現することが好きだった。

後藤 そうですね。書くことも好きだったのかもしれない。あり得ないことを。

高校生にして、タクシー通学

——高校生の時はどういうスケジュールだったんですか?

後藤 ライブは基本夜で、収録は、私がスタジオに入るのは大体14時半とか。間に合わないので、学校に車をつけてもらっていて、終わったと同時に飛び出してました。たまにホームルームが長引いちゃう時は、窓から抜け出してましたね。「後藤は?」「トイレです」みたいな感じでクラスメートにかばってもらって、途中で抜けたことは多々ありました。

 それで22時にテレビ局を出て、お家に帰ったら22時半とか23時くらい。高校生でそこから勉強は結構きつかったです。

——きついですね。

後藤 で、朝は母には普通に「行ってきます」って言いながら、歩いて駅までは行くけれど、駅前で手を挙げてタクシーを拾う(笑)。

——タクシー通学!

 

後藤 毎日ではないですよ!(笑)でも、満員電車は危ないと言われて。当時、芸人狩りが流行っていたんです。

 確かに軽くやられたことはあるんですけど、どういうわけかその話に尾ひれがついて、品川庄司の品川(祐)さんが「アンラッキー後藤が芸人狩りに遭って、傷だらけになった」って色んなところで言って回ってたんですよ(笑)。

——傷だらけ??

後藤 実際は、渋谷で酔っ払いに「なんかやれよ」みたいに絡まれて、ちょっと擦りむいたっていうだけだったんです(笑)。そんなこともあって、ほぼタクシーで行ってました。いや、でも、疲れちゃったっていうのが大きかったかな。すごく疲れてたんです……。

——はい。

後藤 あと、周りが変わっていっちゃって。学校の友達も、腫れ物に触るじゃないけど、ちょっと態度に変化があって。私が急にテレビに出だして、変な話、学校には元相方も居たので、複雑な感じでした。

——元相方は、同級生だったんですもんね。

2023.03.10(金)
文=西澤千央