後藤 そうです。しかも、私よりもお笑い好きだったんですよね。私にとって、高校時代は微妙な3年間でしたね。

ネタをやる前から「帰れ」…客からの嫉妬と“下心”

——当時は芸人になるためにはスクールに通うのが当たり前の時代になっていたと思うのですが、後藤さんはそこにも通われてなかったですよね。

後藤 そうですね。アンタッチャブルとかもライブにスクール生のコーナーで出てましたから。それをなぜか高校生の私が横から普通に出ていました。

——嫉妬もありましたか?

後藤 あったと思います。たぶん芸人たちは面白くなかったと思います。

 ただ、それよりも、客からの嫉妬がすごかったですね。あの頃芸人がみんなアイドルみたいになっちゃってたので。『ボキャブラ天国』がありましたから。

——だいたひかるさんがYouTubeの『街録チャンネル』というインタビュー番組に出て当時のことを語っていた時に、『爆笑オンエアバトル』のアンケートが「やめちまえ」といった罵詈雑言だらけだった、と。当時『オンエアバトル』は女性のお客さんがすごく多かったみたいですが、自分の大好きな芸人のそばにいる女が憎い、という感覚でしょうか。

後藤 そうだと思います。私の場合は……ライブ中によくありました。たとえば、ラ・ママの新人コント大会は、面白くないと客席から手が挙がって、何人か挙がると退場なんです。X-GUNとか海砂利(水魚)、底ぬけAIR-LINEと出てた時に、私が舞台に出た瞬間に手が挙がって、何もやらせてもらえない時もありました。

 

——ひどい。

後藤 そんなのばっかりですよ。その時は「この野郎」と思ったけど。半分くらいそういう客で、あとは……言葉は悪いけど、もっといやらしくて、私と仲良くなれば芸人と出会える、みたいな人もいましたね。

「何でも相談に乗るし、ご飯も食べさせてあげる」とお姉さまのような感じでファンレターをくれるんですけど、本当の目的は「○○の連絡先を聞いてほしい」とか。

2023.03.10(金)
文=西澤千央