ハワイ王国の栄華を象徴するイオラニ宮殿には、日本との交流を物語る品が今も残る。
2020年にスタートした特別な見学ツアーで、日本とハワイの絆をたどってみよう。
カラカウア王が結んだ日本とハワイの深い縁
◆Iolani Palace(イオラニ宮殿)

日本とハワイの深い繋がりは、いまから140余年前、ハワイ王国第7代、カラカウア国王が世界周遊の旅で、日本を訪問したことに始まる。

横浜港では明治天皇の勅使が出迎え、軍楽隊が奏でるハワイポノイ(当時の国歌、いまの州歌)で歓待された王は、いたく感動したとか。

一方で、王には日本訪問の目的があった。明治天皇に謁見し、日本からハワイへの移民(労働人口の減少を補うため)、王族の女性と皇室の男性との縁談などを申し入れたのだ。
縁談はまとまらなかったものの、移民は実現し、その末裔がハワイに根を下ろしているのは周知の通り。

そんなハワイ王国と日本の絆が感じられるのが、イオラニ宮殿の「ロイヤル・コネクションとジャパンツアー」。

1階の大広間には、明治天皇から贈られたという菊花紋の入ったペアの壺。青の間では、これまでの日本人招待客についての説明もあり、通常は遠くからしか見られない正餐の間で豪華なダイニングテーブルのセッティングを見たり、カラカウア王やカピオラニ王妃の寝室、王の執務室、音楽室でも、日本からの贈り物や調度品を間近にすることができる。

宮殿内は建物とインテリアを保護するために照明が最小限に抑えられ、カーテンも引かれているため、近くに寄らないと分からないことも多いのだ。

ベッドを覆うキルトの繊細な縫い目や配色の美しさ、王の積極的な外交を物語る写真などもじっくり眺め、歴史の世界に浸りたい。
Iolani Palace(イオラニ宮殿)
所在地 364 S King St., Honolulu
電話番号 808 522 0822
開館時間 9:00~16:00
休館日 日・月曜
※「ロイヤル・コネクションとジャパンツアー」は毎週水曜13:00から約1時間(日本語でのツアーは3日前までに要予約)
拝観料 大人 69.95ドル、子ども(5~12歳) 44.95ドル
https://www.iolanipalace.org/
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Column
CREA Traveller
文藝春秋が発行するラグジュアリートラベルマガジン「CREA Traveller」の公式サイト。国内外の憧れのデスティネーションの魅力と、ハイクオリティな旅の情報をお届けします。
2023.03.02(木)
文=伊藤由起
撮影=志水 隆
コーディネート=本間律江、工藤まや
CREA Traveller 2023 vol.1
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。