この記事の連載
ホノルルの匠の技「カパ」
ホノルルの匠の技「ウクレレ」
樹皮を叩いて作る「カパ」と、木を組んで作る「ウクレレ」。2人の匠を2回に渡りご紹介。
ハワイだからこそ生まれるデザインがそこにある。
緑のざわめきと木槌の響きに古のハワイを想う
◆Dalani Tanahy(ダラニ・タナヒー)
![ダラニさんの作品は、名だたるホテルなどにも飾られている。背後はすべてヴァウケの木。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/e/9/1280wm/img_e9e29df4cc1003604e34da7d3acd88871746127.jpg)
かつて織布のなかったポリネシアの島々で広く作られてきた「カパ」。ハワイ語でヴァウケと呼ばれるクワ科の木の樹皮を叩いて伸ばして作る、和紙に似たタッチの不織布だ。今日の布と同様に衣類や寝具などに使われてきた。
![木の表皮を削る貝殻(オピヒ)、樹皮を叩く木槌(イエクク)、樹皮を割くサメの歯のナイフ(ニホマノ)、模様をつけるための竹のスタンプや、ラウハラの実の筆も本来はすべて自作する。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/b/b/1280wm/img_bbc6d7091230f0ce415fa7c0fbf96731639457.jpg)
ダラニ・タナヒーさんは、数少ないカパ職人のひとりだ。その研究・創作活動は30年以上にわたり、2007年からはマカハにアトリエを構えて、カパ作りを教えている。
![まず硬い木の表皮を貝殻で削る。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/7/7/1280wm/img_772ef7bf9fe4f757343c2d10654b3abc497172.jpg)
本格的なレッスンは1年コースで、古代ハワイアンと同様に材料の木を植え、道具を作るところから始まる。が、今回は旅行者も参加可能なお試しコース。
![樹皮を外し木槌で叩き伸ばす。本来は叩く前に樹皮を海水に浸けて発酵させる工程も入る。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/3/7/1280wm/img_37754fe1e4ea1de79c37d070cd06b155492006.jpg)
木の表皮を貝殻で削り、サメの歯のナイフで割き、木槌で樹皮をコンコン叩いていると、ヴァウケの森のざわめきや鳥や虫の声とともに、心はいつしか古のハワイヘ。
![みんなで作ったカパ。不出来でも愛しい。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/1/6/1280wm/img_16457d0f3cb081ad55da3a6898197d2a693982.jpg)
持ち帰った自作のカパを見るたびに、あの森のスピリチュアルな空気と木槌の響きを思い出すだろう。
ダラニ・タナヒーさんのウェブサイト(ハワイ カパ情報)
![](https://crea.ismcdn.jp/common/images/blank.gif)
Column
CREA Traveller
文藝春秋が発行するラグジュアリートラベルマガジン「CREA Traveller」の公式サイト。国内外の憧れのデスティネーションの魅力と、ハイクオリティな旅の情報をお届けします。
2023.03.04(土)
文=伊藤由起
撮影=志水 隆
コーディネート=本間律江、工藤まや
CREA Traveller 2023 vol.1
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。