気まぐれで、ミステリアスな存在。でも、だからこそ、とにかく愛おしい。

 そんな猫たちの視点で描かれたおすすめ漫画を紹介します。一読すれば、彼らのことを抱きしめたくなるはず。


桜井海『おじさまと猫』

 ペットショップで売れ残っていた成猫のエキゾチックショートヘア。見向きもしてもらえないことに絶望していたある日、ダンディな紳士が、その猫に一目ぼれ。家に連れ帰ってふくまると名づける。

 このイケオジ、実はこれまで猫を飼ったこともなければ、およそ生き物に触れたこともないため、ふくまるの世話も恐る恐る。ふくまるとコミュニケーションは取ろうとするが、実際のところ、ふくまるの本心をわかっているわけではない。

 ふくまるの方も、人間の行動は理解するが、言葉や社会生活については何もわからない。ゆえにそれぞれが吐露する内面はかなりズレまくる。だが、互いを思う気持ちの強さは格別で、胸きゅん必定。

 ふくまるとのふれ合いだけでなく、かつて天才ピアニストと呼ばれた神田をめぐる人生ドラマの方も、波瀾万丈。

おじさまと猫(1) (ガンガンコミックスpixiv)

定価 897円(税込)
スクウェア・エニックス
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園田ゆり『ツレ猫マルルとハチ』 

 スズメを追ってうっかり家から飛び出し、帰れなくなった元家猫のマルル。ハチという地域のボス猫の危機一髪を助けて仲間に入れてもらった。

 恩を忘れないというハチはわりに面倒見がいい親分肌で、弱った子猫を助けたり、縄張りのために体張ったり。マルルはそんなハチのそばで、野良の過酷な生活に馴染んでいく。

 都会の野良猫の平均寿命は3年という記事を読んだことがある。エサの探し方も得意なことも違う2匹の個性が、相手を慮りながら絆を深めていく様子を眺めていると、どうかきょうも生き延びてほしいと祈るような気持ちで読んでしまう。

 おぼろな記憶をたどり、ハチの助けも借りてマルルは元の家を見つけるのだが、想像していなかった事態が。そのときのマルルの決意は切なすぎる。

 外で生きる猫のマンガは、愛おしいけれど野良生活の厳しさを見せつけられて案外メンタルをやられる。だが本書は2巻で2匹に大きな事件が起こり、ほっと一息付けるので少し安心して手に取ってほしい。

ツレ猫 マルルとハチ(1) (アフタヌーンKC)

定価 748円(税込)
講談社
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2023.02.25(土)
文=三浦天紗子