恐ろしいエネルギーを発散していた特別企画

●ディズニースペシャルメドレー

 SnowManラウールの脚の長さに仰天。そして、「ジャンボリジャンボリ……」の振り付けはヲタ芸と通ずるということをSnowMan佐久間大介が証明。跳ね具合が飛びぬけて見事だった。

●加山雄三「海 その愛」

 過去最高齢85歳で紅白出場し、威厳を見せつけてくれた。そして89歳の黒柳徹子さんが目を真っ赤にしながら「若大将~!!」とエールを送る姿に泣いた。青春は永遠なんだなあ。

●氷川きよし「限界突破×サバイバー」

 Kii様の気迫と歌唱力を背負えるのはフェニックスのみ!! 激しいパフォーマンスで絶妙の位置に垂れてくる一筋の前髪は美の神が味方したようで、麗しさが限界突破していた。またその歌声が聴ける日を待っています!

●松任谷由実 with 荒井由実「Call me back」

 2019年の美空ひばりのAIには震えるほど拒否感を覚えた私だが、今回は過去から未来へ、という清々しさがあってジーン。キャッキャと応援する郷ひろみとあいみょんも良き。

●安全地帯「I Love Youからはじめよう」

 12月17日に死去したドラム・田中裕二さんを感じさせるステージが胸を突く。玉置浩二のソロも素晴らしいが、このバンドは別の意味で揺るぎなさがあって特別。

●「時代遅れのRock’n’Roll Band」桑田佳祐 feat. 佐野元春, 世良公則, Char, 野口五郎

 超カリスマ達が、ただただギターが好きな音楽小僧に戻る感じに萌える! 佐野元春が一人寸劇に入らないのも自由でリアルな青春フレイバー。ゲストミュージシャンも大友康平、原由子という大物だらけの中、ベースを任されたハマ・オカモトの信頼度におののく。


 年々スケールが大きくなるMISIAが、ダルマを中心に添えウサギダンスとともに「希望のうた」を、そしてピンクのスーツを着た福山雅治が「桜坂」で、紅と白が最高に美しく混ざった「桜色」で舞台を染め、ゆったりとエンディング曲を流すように大トリで締めたのも美しかった。

 フィナーレで目立っていた大賞は、「白組勝利」と聞き、特別企画枠出演なのに、ついつい高く拳を突き上げていた加山雄三。そして石川さゆりの頭にちょこんと乗っかっていた白うさぎ! 彼女は毎年干支のぬいぐるみを頭に飾ってくれるのだが、今回は場所的に、大泉洋の肩に乗っているかのように見えもし、微笑ましさ極まれりであった。

 愛しさと戸惑いと心強さの4時間半。多様性にもほどがある音楽シーンへの迷いも見えたが、それも近年の紅白の面白さと言いきってしまおう!

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田中 稲(たなか いね)

大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。個人では昭和歌謡・ドラマ、都市伝説、世代研究、紅白歌合戦を中心に執筆する日々。著書に『昭和歌謡出る単1008語』(誠文堂新光社)など。
●オフィステイクオー http://www.take-o.net/

Column

田中稲の勝手に再ブーム

80~90年代というエンタメの黄金時代、ピカピカに輝いていた、あの人、あのドラマ、あのマンガ。これらを青春の思い出で終わらせていませんか? いえいえ、実はまだそのブームは「夢の途中」! 時の流れを味方につけ、新しい魅力を備えた熟成エンタを勝手にロックオンし、紹介します。

2023.01.31(火)
文=田中 稲