終了後、F先生を平井のお店(鰻料理の名店「魚政(うおまさ)」)にお誘いしたら、ご主人の鈴木さんが「僕、聖徳の卒業生です!」と仰って、またまたびっくり。聖徳栄養短期大学で調理師の資格を取られたそうです。

 鈴木さんは、亡き母を病院ではなく自宅で看取るために、重大な示唆を与えてくださった方です。その方と聖栄大学とのご縁が、巡り巡って私にまでつながったことが、本当に不思議で、ありがたく思われます。

 そんな体験も踏まえて、本文にも聖栄大学に登場していただきました。

 実は、第一話の昆虫少年のモデルは私の次兄です。ルミエール商店街で夏に虫を売っていた父娘がいたのも事実です。

 それ以外は創作ですが、新小岩の街が与えてくれたご縁とインスピレーションに導かれて、本作品を書くことが出来たのだと思っています。だから、これからも書き続けていれば、またまた不思議な出会いと貴重なご縁に恵まれるのではないかと、ひそかに期待もしております。

 変わりゆく新小岩の街を舞台に、変わらぬ人の情を描いてゆきたい。それが『ゆうれい居酒屋』に託す作者の思いです。

 また次の『ゆうれい居酒屋3』でも、皆様と再会が叶いますように。


(「あとがき」より)

2023.01.03(火)
文=山口 恵以子