『スパイシーな鯛 ゆうれい居酒屋2』(山口 恵以子)
『スパイシーな鯛 ゆうれい居酒屋2』(山口 恵以子)

 皆様、『スパイシーな鯛 ゆうれい居酒屋2』を読んでくださって、ありがとうございました。

 皆様に応援していただいたおかげで、この作品もシリーズ化が決まりました。作者として、こんなに嬉しいことはありません。心から御礼申し上げます。

 第一巻のあとがきにも書きましたが、新小岩は自宅から一番近い電車の駅だったので、子供の頃から馴染みの街でした。小学生時代は日本舞踊の稽古に週三回通っていました。通算すればルミエール商店街を何往復したことでしょう。

 ところが三十数年前、我が家は別の街に引っ越して、最寄り駅が東京メトロ東西線葛西駅に変わり、それ以来新小岩とはすっかり疎遠になってしまいました。

 今回『ゆうれい居酒屋』を書くに際してロケハンしたところ、街の変わりようは目を見張るほどで、昔から知っているお店で健在なのは「第一書林」始め、ほんの数軒だけでした。特にエスニック関連のお店が増えたことが、一番の驚きでした。

 それでも一歩路地裏に入れば、昭和レトロな居酒屋やスナックもあって、懐かしい気分になりました。本文にも登場するスナック「優子」はその時発見して、偶然にも担当編集者と同名だったので「いただき!」となりました(笑)。

 今年の五月、新小岩にある東京聖栄大学のF先生から、講義のご依頼をいただきました。正直「新小岩に聖栄大学なんてあったっけ?」と思いましたら、聖徳栄養短期大学を母体として二〇〇五年に開学した大学で、新小岩駅北口方面に校舎が何棟も建っていて、こんな立派な学校だったのかと、自分の認識不足に恥じ入った次第です。

 地元出身の教授もいらして、年齢も近いことから、講義前は昔話(おしゃれだった「レストラン・ミナト」とか)で大いに盛り上がってしまいました。

 学生さんは女性が大半かと思いきや、男女半々くらいの割合で、若い男女の前で講義する機会はほとんどないので、私としても貴重な体験をさせていただきました。

2023.01.03(火)
文=山口 恵以子