この記事の連載

藤枝梅安と彦次郎の二人の“バディもの”

──梅安の相棒・彦次郎は、原作では梅安よりも年上です。これまでの映像化作品でも、彦次郎役は梅安より年上の役者が演じてきましたが、本作では彦次郎が梅安よりも年下という設定です。新しい二人の関係性の見どころを教えてください。

 『仕掛人・藤枝梅安』は、藤枝梅安と彦次郎の二人の“バディもの”です。エンターテインメント作品ではありますが、よくみるとストーリーの半分以上が梅安と彦次郎の会話シーンで成り立っているんです。

 つまり、会話の裏に登場人物の心情を覗かせていく物語形式なので、二人の親密性や親和性をどれくらいイメージさせられるかで印象が大きく変わってくるんですよね。そういう意味で、僕は今回の梅安と彦次郎の関係が、いちばん池波先生の原作に近いんじゃないかと思っています。

──彦次郎を演じた片岡愛之助さんが、豊川さんのことを「梅安が原作から抜け出てきたイメージ」とおっしゃっていました。豊川さんからみて、愛之助さんの彦次郎はどのように感じましたか?

 「お互いに信頼しあい、大事に思っているんだけど、どこか孤独」という彦次郎像のイメージそのものを演じてくださったと思います。

 愛之助さんは華のある方で、舞台でもとても存在感のある方です。共演させていただくのは今回が初めてでしたが、いつかご一緒したいとずっと思っていたので、長年の夢が実現できてうれしかったです。

2022.12.18(日)
文=相澤洋美
撮影=橋本 篤、山元茂樹