日本を代表する前衛芸術家、草間彌生。今年から来年にかけて、彼女の大規模な回顧展が欧米4都市で開催される。5月10日にマドリッドの王立ソフィア王妃芸術センターで幕を開けた展覧会は、10月からパリのポンピドゥー・センターに会場を移す。その後はロンドンのテート・モダン、ニューヨークのホイットニー美術館へと巡回する予定だ。ちなみに展覧会を企画したのはテート・モダンで、参画した美術館はいずれも現代アートの世界でもトップレベルに位置する。日本人作家の個展がこれらの美術館を巡回するというのは、過去に例のない出来事だ。
草間彌生といえば、無限に増殖する水玉模様やカラフルでポップな立体作品を思い浮かべる人も多いだろう。けれども草間の活動はそれだけに留まらない。シュルレアリスムやポップアート、ミニマリズムなどの手法を参照しつつ、独自の世界を築き上げたところに彼女のアートの面白さがある。
2011.07.29(金)
text:Fumiko Suzuki