御厨 伝統的に申し上げても、日本の天皇家というのは長子相続で、代々長男が皇太子となって継いできました。「次男」という存在が天皇制に関わると、いろいろやっかいな問題が起きたりもしていたのです。たいてい次男というのはやんちゃなもので。昭和天皇の弟君であられた秩父宮さまも2・26事件の際、軍部との近さが問題になったことがありました。秋篠宮さまは子供たちへの教育ひとつとってもかなり自由ですよね。きちんとお務めになる長男と、その姿を横目に羽目を外す次男、というのは珍しくない構図です。

林 秋篠宮ご夫妻はよく、「子供たちに任せている」とおっしゃいますね。娘たちの大学も皇族が代々通われる学習院ではなく、国際基督教大学を選ばれて。学習院に入れられていれば、いまのような問題は起きなかったような気が……。

御厨 そうでしょうね。

林 それに、いまさら言っても詮ないことですが、眞子さまにはしかるべき人が相応しいご結婚相手をご紹介すべきだったのではと、やっぱり思ってしまうのです。たとえば紀宮さま(黒田清子さん)と結婚した黒田慶樹さんなんて、いかにも朴訥とした好青年でした。一般家庭の出で大金持ちではなかったかもしれませんが、誠実そうで、秋篠宮さまの同級生というご縁がありました。三笠宮家の容子さまは裏千家の家元に嫁がれましたし、昭和天皇の第5皇女で「おスタちゃん」と呼ばれた清宮さま(島津貴子さん)も、結婚直前の誕生日会見で「私の選んだ人を見てください」なんておっしゃっていたけれど、島津家に嫁いだ。つまり、たった半世紀さかのぼれば、みなさんちゃんとしかるべきお家に嫁がれていたんです。

皇族然として正道を行かれる愛子さまのお姿

御厨 最近は、結婚が「家」同士のものという考え方そのものが薄れてきていますからね。

林 旧家と呼ばれる家の方々であっても、「本人の好きな人と結婚するのはしょうがない。毎年ちょっとお墓参りに行ってくれさえすればいいよ」といった具合で、親世代も諦めている節があると聞きます。

2022.02.15(火)
文=「文藝春秋」編集部