30年前も大衆天皇制は存続

林 実は私、今日は軽井沢から東京に戻ってきたんです。昨日は1泊だけ万平ホテルに泊まりました。

御厨 皇室ゆかりのホテルですね。

林 それで思い出したのは、まだ2歳にならない眞子さまと秋篠宮ご夫妻が万平ホテルを訪れていたときの映像です。93年頃だと思います。ホテルで飼われていた大きなゴールデンレトリバーが、紀子さまに抱っこされた眞子さまに飛びかかったあの有名なシーン。紀子さまは「あら、お友達になりたいのね」なんて微笑んでいらして、本当に素敵なお母さんだった。眞子さまも自分より体の大きいゴールデンレトリバーに怖がらないで餌をあげたりして、あっという間に仲良くなっていく様子がテレビで流されました。

御厨 あれこそまさに国民に開かれた皇族の姿でした。93年といえば、現在の天皇陛下が雅子皇后と結婚したときのフィーバーぶりも凄かった。ご成婚パレードでは沿道に国民が押し寄せました。30年前も大衆天皇制は存続していたのです。新しいプリンセスがその都度、華やかに取り上げられましたが、中心には美智子さまの存在があり、彼女たちはそのビヘイビアを真似ていたのです。そういった意味でも美智子さまの図抜けた才能は余人を以て代えがたいものだった。それを令和になった今、我々は実感しているというわけです。

 

秋篠宮家へのバッシングの声

林 私は眞子さまのご結婚についても、美智子さまの言葉で国民感情は一件落着するのではないかと思うんです。「今回のことはこういうことだから、私が叱っておきましたから、許してやってください。今後は悠仁を盛り立てて、一同心を合わせます」とか。御厨先生、今度美智子さまに会われた時にぜひご提案していただければと思うんです。

御厨 ハハハ。

林 それにしても、秋篠宮家へのバッシングの声が大きくなるにつれ、お兄さまである天皇家の存在感が増しているように見えます。この前の東京オリンピックの開会式でも、陛下のご様子が本当に楽しげで優しげで、いらっしゃるだけで心が癒されると珍しくネット上も称賛の声ばかりでした。

2022.02.15(火)
文=「文藝春秋」編集部