「やさしい学校の先生」になりたかった愛子さまの将来の夢は…雅子さまの外務省キャリアウーマン時代の写真をご覧になった愛子さまの“ご感想” から続く

 12月1日に天皇皇后両陛下の長女・愛子さまが成年を迎えられ、国民のあいだでは天皇ご一家への注目がさらに高まっています。「文藝春秋」2022年1月号より、ジャーナリスト・友納尚子氏による「愛子さまから両陛下へのお手紙」を特別に全文公開します。(全3回の3回目/#1#2から続く)

皇室流のメンタルケア

 両陛下は、愛子さまにコロナ禍を通じて「皇族が緊急時にどのように過ごすべきか」教える機会にしたいとお考えになったようだ。

「両陛下は、新型コロナウィルスの感染が拡大して国民が苦しんでいることを本当にご心配なさっておられました。宮内庁の中からも感染者が出ないよう注意を払われ、天皇ご一家もうがいや手洗い、運動や食事などに気を配って免疫低下を防ぐなどウィルス対策を徹底なさっていました。

 愛子さまには、災厄が起こっているときには、国民のことを案じながら静かに過ごすことや、有難いことにこれだけ広い環境に住んでいるのだから、外出しなくても体を動かすことはできる、楽しいことも見つけられると。要は考え方次第だと教えられたそうです。陛下らしいご発想だし、これがご教育だと思いました」(陛下のご学友)

 以前、天皇ご一家が長期間にわたって静かに時を過ごすためのコツはあるのかと関係者に聞いたことがある。外出もなく同じことの繰り返しという毎日は、やはりストレスも溜まるのではないかという質問に対して、与えられた環境の中で楽しいことを見つけることのほかに、「過去の楽しかった出来事を思い出すことも大切だとお考えになっているようです」という答えが返ってきた。

 それは例えば、学校での思い出だ。両陛下にとっては、学生時代の思い出は格別で、友だちと共感し合った日々はとても楽しく、いま思い出しても楽しい出来事ばかりだったという。だからこそ、愛子さまにも一般の子どもたちとの触れ合いや、学校生活を大事にしてほしいと願われてきた。楽しかった出来事を思い返すと気持ちが安定するので、目の前に困難があったとしても乗り越えられるという実感をお持ちのようだということだった。

2022.01.05(水)
文=友納尚子