息子・虹郎さんの世代に対して思うこと

――村上さんの息子・虹郎さんも現在、俳優として活躍されています。虹郎さんと同じ世代の俳優と仕事をする機会も多いと思いますが、彼ら世代に感じることはありますか?

 もっとね、いってほしいです! 不満ではないんですよ。「俳優とは、こうあれ」みたいな呪縛から逃れたのが、今じゃないですか。皆さんの会社もそうかもしれませんけど、会社員はこう、キャメラマンはこうとか、日本で言うと「男たるもの、大黒柱でマイホーム、マイカーだ!」みたいな呪縛から、我々も彼らも今逃れているわけですよね。

 そういう意味で、我々のような中堅どころ――もしくは彼らからすると大先輩にあたるポジションの人間――が、彼らに対してパスを渡せていたら、と思うんです。若手の何人かでも、もうひとりでもいいです。この映画を観たとき、「スクリーンにさらけ出すというのは、ここまでやらなきゃいけないのか」ということを感じ取ってくれるんだったら、僕は内容云々よりも、廣木さんと僕と菜葉菜が組んだ意味があるんじゃないかな、と思っています。

村上淳(むらかみ・じゅん)

1973年7月23日生まれ。大阪府出身。モデル活動を経て、93年に橋本以蔵監督の『ぷるぷる 天使的休日』で映画デビュー。中江裕司監督『ナビィの恋』、阪本順治監督『新・仁義なき戦い。』、廣木隆一監督『不貞の季節』の3作品で第22回(2000年)ヨコハマ映画祭の助演男優賞を受賞。2月3日(木)22時よりひかりTV「湯あがりスケッチ」に出演中。

映画『夕方のおともだち』

2022年2月4日(金)よりTOHOシネマズ六本木ヒルズ 大阪ステーションシティシネマ 全国順次ロードショー

ヨシダヨシオは寝たきりの母親と暮らし、市の水道局に勤める一見真面目な男。一方で筋金入りの”ドM“な一面を持ち、夜な夜な街で唯一のSMクラブへ通いつめ”女王様“ミホからお仕置きを受けている。
しかし、ここのところどうもプレイに身が入らない。その理由はヨシオには分かっていた。ヨシオをこの世界に目覚めさせ、突然目の前から姿を消してしまった”伝説の女王様“ユキ子が忘れられず、いつもどこかでユキ子の残像を追いかけながら暮らしていたからだった。そんなある日、明るい太陽のもとミホと埠頭で釣りをしていると、思いもしない所で彼女を見かけ、ミホを置き去りにしてユキ子を必死に追いかける。ヨシオがたどり着いた果てにあるものとは…。そしてヨシオとミホに待つ結末とは?

出演 村上淳 菜葉菜 好井まさお 鮎川桃果 大西信満 宮崎吐夢 田口トモロヲ Azumi(Wyolica) 鳥丸せつこ
監督 廣木隆一
原作 山本直樹
脚本 黒沢久子
主題歌 大橋トリオ「はじまりの唄」
配給 彩プロ 映倫R-18
©2021「夕方のおともだち」製作委員会
https://yugatanootomodachi.ayapro.ne.jp/

2022.02.04(金)
文=赤山恭子
撮影=山元茂樹